ロックロックこんにちは

今日は6月9日、ロックの日であります。


というわけで、現代の文壇におきましてロックの最前線を行く作家である、深町秋生先生の『果てしなき渇き』が文庫化されましたので、ご紹介いたします。

果てしなき渇き (宝島社文庫)

果てしなき渇き (宝島社文庫)

2005年度「このミステリーがすごい!」大賞を受賞した本作は、元刑事の藤島が、失踪した娘・加奈子の行方を追ううちに無間地獄へ突入していくというストーリー。


強烈な痛みを感じさせる暴力描写、登場人物を突き動かす衝動の濃さと黒さ、1ページたりとも気の休まらない、読者の心に粗塩をすり込むような作品です。読書に癒しだの涙だのしか求めない人にはけしてお勧めできませんが、それ以外の方は必読。


藤島の行動を追う現在のパートと、三年前の少年の物語とが絡み合う構造のダイナミズムも見ものです。


やがて描き出される、関わるものすべてを、彼ら自身の欲望によって破滅させずにはおれないファム・ファタールの姿。


その結末において、彼女が父に向けて放った一言はあまりに鋭く人の心をえぐり、読者は逆説的なカタルシスを味わうことになるでしょう。



…というわけで、お求めやすい文庫本になりましたのでみんな買って、深町先生に儲けていただきましょう。

(おもねりで〆るという品性はいかがなものか)