ワッシュのガンクレイジー講座＜弾丸篇＞ - 男の魂に火をつけろ！　～はてブロ地獄変～

勝谷誠彦さんが、ヴァージニア工科大乱射事件で使われた銃について「９口径」と間違っていたのが、話題になっています。

この「口径」というのがわからない人もいると思うので、今日は拳銃と弾丸について。

銃の、弾丸の直径を示す「口径」には、アメリカで用いられるインチ表記と、ヨーロッパで用いられるmm表記の二通りがあります。

「22口径」「38口径」など、二桁の数字で表されるのはインチ表記で、それぞれ0.22インチ（約5.6mm）、0.38インチ（約9mm）を示します。

一般に用いられるのは、次のようなものです。

「ワイルド７」の飛葉ちゃんが持っていたコルト・ウッズマンなどが代表的。
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「タクシードライバー」のトラヴィスや「GUN SMITH CATS」のラリーが、仕込み銃として袖に隠していたコルトポケットピストルなどが代表的。

峰不二子が使うブローニングM1910などに使われる。

軍用拳銃に広く使われる9mmパラベラム弾や、警察がよく使う38スペシャルなど、とても広く使われている。

わたしの師匠である（と勝手に思っている）町山智浩さんも大好きなコルト・ガバメントなど、大型拳銃に使われる。

などなど。９口径というのは寡聞にして聞いたことがありませんが、仮に実在するのなら直径およそ2.3mm程度であり、キリの先で突いたような傷しか付かないと思われます。これで32人を殺害するのはたしかに無理でしょう。

といっても、弾丸の持つ殺傷力は直径のみによって決まるわけではありません。

中学校の理科で習う運動エネルギーの計算式によると、質量をM、速度をVとしたときのエネルギー＝1/2MV^2で表され、すなわち威力は質量に比例し速度の２乗に比例するので、つまり速度が2倍になると威力は4倍になるわけです。

その速度を生み出すのは火薬の量であり、火薬の量は薬莢の長さに左右されます。

つまり、口径が小さくても薬莢が長ければ、火薬の量が多いので弾丸の殺傷力は増します。

38口径と同じ直径で、薬莢を大きくして火薬を増やしたものが357マグナムであり、45口径の長くなったものが有名な44マグナム。

それぞれ、「CITY HUNTER」の冴羽獠が使うコルトパイソンや、「ダーティハリー」のクリント・イーストウッドが使うスミス＆ウエッソンM29などが有名です。

拳銃弾の中で最も小さい22口径でも、一般に使われているのは薬莢の長い22LR（ロングライフル）という弾丸なので、実は25口径より威力が高いんですね。

また、M16などのライフルに広く使われているNATO弾は5.56mm口径なので22口径と同じぐらいですが、長さが45mmある（拳銃弾の2倍以上）ため威力は比べ物になりません。

それから、殺傷力は弾頭の運動エネルギーのほかに弾頭の材質や形状にも大きく左右されます。

ちょっと考えると、弾頭が硬いほど威力がありそうな気がしますが、実は硬い弾頭は貫通力には優れていますが人体を破壊する力は劣っています。

当たると潰れ変形する柔らかい弾頭の方が、殺傷力には優れているんですね。

柔らかい鉛で、しかも先端がくぼんだホロー・ポイント弾は、ヴァージニア工科大でチョー容疑者が使っていたものですが、当たるとキノコ状に変形し、人体に深刻なダメージを与えます。

また、先端に十字の切り込みを入れたダムダム弾は、当たると十字に裂けて高速で回転しながら人体に食い込み、内臓をズタズタに破壊する恐ろしい威力を持つため、戦争で軍隊が使用することを、条約で禁止されています。

村川透監督の「蘇える金狼」で、松田優作が弾丸に切り込みを入れていたのをご記憶の方も多いでしょう。
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津山三十人殺しの都井睦雄も、大型獣用の弾丸をしかもダムダムに加工していたため、被害者の遺体は酷く損傷されていました。

ま、いずれにしても、最も威力が弱いとされる25口径であっても、急所に当たればちゃんと人間は死にます。