今に見ておれで御座いますよ

CNNの報道によると、ヴァージニア工科大学乱射事件の容疑者は、「グロック19」と「ワルサーP22」という二丁の拳銃を使用していたそうです。

http://edition.cnn.com/2007/US/04/17/vtech.shooting/index.html


「拳銃だけで32人も殺せるの?」と思う人もいるかもしれませんが、これらの銃は実用性に優れており、十分に可能なんですね。



まずグロックについて。
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グロック19は、ベストセラーであるグロック17の小型版として1988年にオーストリアグロック社から発売された拳銃。

元となったグロック17は、オーストリア軍用拳銃として開発されたもので、1985年にアメリカで民間向けに発売されました。
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従来の自動拳銃とは異なり、グリップ・フレーム、マガジン、小部品を可能な限りプラスチック化しているため、およそ650gという軽量*1


また、トリガーに小さなレバーを付属するほかは一切の手動安全装置を排し、手に取ってすぐ発射できる構造になっています。

このため、特に素早いリアクションを要求されるアメリカの警察に好評で、警察用として、また各国の軍用として広く採用されています。

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高橋ツトム先生の「地雷震」では、主人公の飯田刑事がグロックを使用していました。
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映画「追跡者」でも、トミー・リー・ジョーンズ扮するジェラード捜査官が、相棒に「銃はグロックにしろ」と言う場面があったのをご記憶の方もいらっしゃるでしょう。




使用する弾丸は、口径9mm×長さ19mmの9mmパラベラム弾。自動拳銃としては最もポピュラーな弾丸ですが、高速で殺傷力に優れています。

グロック17はこれを17発も装弾でき、今回使用されたグロック19も、コンパクトモデルとはいっても15発装填可能。しかもマガジンの入れ替えも容易なため*2、これ一丁でもかなりの人数を一度に殺傷することが可能です。




もう一丁持っていたワルサーP22はこちら。
http://www.waltheramerica.com/firearms/p22.cfm
外観は、現在のワルサー社のフラグシップであるワルサーP99を縮小したものです。
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こちらも、グロックの影響を受けてプラスチック製の部品を多く使っており、軽量で使いやすくなっているため、007シリーズでも「トゥモロー・ネバー・ダイ」以降はジェームス・ボンドの使用銃が従来のワルサーPPKからP99に変更されています。



P22の弾丸は22LRの十連発。殺傷力は高いほうではありませんが入手しやすいのでよく使われます。



容疑者のチョー・スンヒは、これら実用性の高い銃を選んで使用し、しかも銃の製造番号を削るという周到な準備もしておりました。



この手の大量殺人は、犯行の動機は短絡的な発想によるものが多いわりに、その準備はかなり周到に行われているという矛盾がよく見られます。


一度は銃を没収されながらふたたび手を尽くして武器を入手した都井睦雄しかり、テキサスタワーに登るにあたって銃といっしょに弁当も持参していったチャールズ・ホイットマンしかり。


そういった矛盾を抱えた人間が、なんらかの障害にぶち当たったときにこういう凶行に及ぶんでしょうかね。



ちなみに、チョー容疑者が書いていたという戯曲「Mr.Brownstone」の元になった、Guns N’ Rosesの同名曲はこちらです。

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タイトルが同じだけで、あんまり関係なさそうですけどね。

*1:通常の大型自動拳銃はおよそ1000g程度

*2:こちら参照