Bloodsucking freaks

というわけで、「HELLSINGOVA第三巻を見たのですが。

HELLSING III〈通常版〉 [DVD]

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全体的に絵がヘン。
とくにインテグラの顔がヘン。大丈夫なのかこのシリーズ。


まぁ絵的にはちょっとアレな部分もあるのですが、今回も声優陣が良かったので、よしとします。


とくに、トバルカインの大塚芳忠ははまり役でした。


ちょっと前に、はあちゅうとかいう人の「はあちゅう主義」とかいうブログが話題になりましたが、これからは「ほうちゅう主義」で行こうかと思います。



さてさて。




吸血鬼ものは現代の漫画でも耐えることなく生まれています。

ロザリオとバンパイア 7 (ジャンプコミックス)

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真月譚 月姫(4) (電撃コミックス)

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彼岸島(19) (ヤンマガKCスペシャル)

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その作風の幅はたいへんに広く、それでいてジャンルとしてまとまっているあたり、吸血鬼という題材の持つ求心力の強さを物語っているといえるでしょう。



吸血鬼を主題とした物語は古代からありますが、近代に下ってこれを文学に取り入れたのはゲーテの譚詩「コリントの花嫁」(1797年)だと言われています。


これは、死んだ娘の亡霊が、愛しい男のもとに夜ごと忍んでくるという民話をもとにしたもので、東洋の「牡丹燈記」と同じ発想ですね。

怪談 牡丹燈籠 (岩波文庫)

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19世紀に入ると、バイロン卿の主治医だったジョン・ポリドリが小説「吸血鬼」を発表し、英国やフランスで一大吸血鬼ブームを巻き起こします。


また、スラブではアレクセイ・トルストイ(「戦争と平和」のトルストイとは別人)が吸血鬼を題材とした小説を書き、ゴーゴリも民話をもとにした「ヴィー」を書きます。

これを原作とした映画も有名ですね。

妖婆 死棺の呪い [DVD]

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また、この話の舞台を日本に置き換えて、平田弘史は「おれたちは生き苦しいのだ」という漫画を描きました。
平田弘史のお父さん物語

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それから、「カルメン」の作者として知られるプロスペル・メリメも、1827年に「イリリア叙情詩選」として吸血鬼の物語を書きました。


イリリア地方(どこだかよくわからんがたぶんバルカン半島のどっか)の民衆抒情詩の翻訳として発表したこの作品ですが、実は完全にメリメの創作で、現在は偽書として知られています。


ゴーゴリの「ヴィー」も同様で、ウクライナの民話をもとにしたと称してはいますが実はそんな民話はないそうです。


ポリドリの「吸血鬼」も、当初は編集者の手違いでバイロン作と勘違いされていたというし、吸血鬼ものというのはそういう素性の胡散臭さがまとわりつくもんなんでしょうか。




で、メリメが創作したイリリア抒情詩選、そのタイトルは「ラ・グヅラ」といいました。


やっぱり「どひひひひー」とか言ってたんでしょうか。