デスファイルyellow〜胎児の絶叫
去年の六月ごろでしたか、はてな界隈で「堕胎」がホットなトピックになった時期がありまして、わたしもちょっとしたエントリを書いたものでした。
http://d.hatena.ne.jp/washburn1975/20060626
あれから半年以上が経ちまして、世の中ではいろんなことがありました。
安倍晋三が総理大臣になったり、サダム・フセインが絞首刑になったり、プリキュアが五人になったりとまさに世間は激動しております。
そんな中、くだんのブームの渦中にあって「女性糾弾」という独自の立場を取り、あちこちのブログへ攻撃を続けたミソジニー派の雄、「喪男道」は、相変わらずに堕胎経験者へのすさまじい偏見と憎悪を募らせ続け、今度のエントリではついに殺人妄想を世界へ向けて発信。
ブログのトップ画像まで、堕胎児の写真に変更するという徹底ぶりです。
http://shrak.blog17.fc2.com/blog-entry-357.html
(↑グロ画像および電波系文章のため閲覧注意)
なんだかこの事件に似てますね。
http://www.alpha-net.ne.jp/users2/knight9/dousoukai.htm
元いじめられっ子が、復讐のために同窓会を開き、砒素入りビールとガソリン爆弾で皆殺しを企てたというもの。
「アンビリーバボー」で取り上げられたのでご存知の方も多いでしょう。
こちらの事件は、中学時代のいじめへの復讐というまだ理解できる動機があるのですが、「覚悟」氏の方は、自分とまったく縁もゆかりもない人を、ただ「そいつらは許せない悪だから」といって殺そうというのだからおだやかでないですね。
まぁそんなふうに「いつか殺してやる」なんてブログに書いたからといって、本当に実行する人はあんまりいないとは思いますけど。深町先生だって「一族みんな殺したい」とかよく言ってるし。
でも覚悟氏の場合は、わざわざ二回も追記して
正義だの悪だのそんなことすらも超越して、彼奴らをひたすらにに消したいと願う。
そしてその願いは、何時の日か、私自身の手で、現実としたい。
(↑原文ママ)
あの事件があったからこそ、私は真実へと目を向ける事が出来たから。
私の心に「地獄の焔」を灯すことが出来たのだから。
なんて書いておられるので、ネタでは済まされない情熱というか、呪いのようなものを感じてしまいます。
ところで。
この人は、自分が喪男になったのは「中絶」が根源だ、と言っているのですが、ではこういう作品を読んだらどんな感想を持つんでしょうかね。
- 作者: 二宮ひかる
- 出版社/メーカー: 白泉社
- 発売日: 1998/01
- メディア: コミック
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主人公の高校生、今野くんは、バイト先のコンビニで、涼子という年上の女性と知り合います。
駆け落ちの約束をしていた男に逃げられ、すべてを失ったという彼女と、すぐに深い仲になる今野くん。
彼の性急でぎこちない欲望を、やわらかく受け止めてくれる涼子にすっかり夢中になる彼ですが、彼女は全然避妊のことを気にもしないので、だんだん心配になってきます。
でもそんな今野くんに、涼子は涼しい顔でこう言います。
私、子供できない体だから
そういうことは心配しなくていいのよ?
…うわぁああ。痛い痛い痛い。この一言はなんかすげえ深いところをえぐられる気持ちになりますよぉ。
覚悟氏は、「女は身勝手に中絶する」というのをそのミソジニーの原点と語っておられますが、ではこういう不妊の人がセックスすることはどう思っているんでしょうかね。
本当に中絶が原点だというなら、妊娠しない人はいくらセックスしたっていいはずなんですが、この人の従来の芸風からいうと「子孫を残す目的以外で、快楽のためにセックスする女は肉便器」ってことになっちゃうんだよなぁ。
結局のところ、いくら胎児のためだのなんだのカッコつけたところで、本音では「オリがさせてもらえねえことをやってるやつらが憎いんだとにかく憎いだけなんだYO!」とか思ってるだけなんじゃねーのかな。
それを必死で取り繕ってる姿の滑稽さは、そんなにキライじゃないんだけど。
そういえばこんな作品もあったなぁ。
- 作者: 夢枕獏
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 1988/09/20
- メディア: 文庫
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そのトラウマによって妊娠恐怖症になった彼女がどうなるのか、はちょっとここでは書けないので興味のある方は読んでみてね。