No virusぐらいわかるニダ!
本日は「グエムル」観てきたですよ。
ものすごいバカ映画の要素と、強烈な反体制メッセージが同居した、大島渚の「絞死刑」にも通じるものがあったように思います。
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合同葬儀場で、ヒョンソの遺影を前にパク一家が悶絶する場面の不謹慎な可笑しさは絶品。
しかし、後半に入ると反米・反権力の姿勢が鮮明になり、不謹慎な笑いと組み合わさった破壊力に打ちのめされます。
ウイルス感染者として拘束されたカンドゥ(ソン・ガンホ)のところに米軍関係者がやってきて、通訳を介していろいろ尋問していく場面。
喋ってるのがものすごい簡単な英語で、「こんなんわかるだろ」と思ってたら、「No virus」というのをちゃんと聞き取って「ノー・ウイルスだって?やっぱりウイルスなんてないんだな?」と詰め寄る展開は、ちょっと北野武「BROTHER」の「ファッキンジャップぐらいわかるよ馬鹿野郎!」を思い出しました。
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また、パク一家の指名手配やカンドゥの逮捕に抗議する学生たちが、「FREE パク・カンドゥ」と書いたTシャツを着て集まり、それに対して米軍が毒ガス「エージェント・イエロー」を散布するあたりは、なんだかRAGE AGAINST THE MACHINEの曲みたいだなーと思わされます。
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弟のナミル(パク・ヘイル)が元過激派大学生で、火炎瓶を武器に怪物に立ち向かうあたりはちょっとベタ過ぎて笑ってしまうほどでした。
政治的な要素以外にも見所はあります。
怪物を倒す場面では、怪物のうねうねした口に鉄の棒を突っ込んでいますが、これは「オデュッセイア」において、オデュッセウスがサイクロプスの単眼に杭を打ち込むのを連想させます。
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「エイリアン」が、女性を襲う男性原理の象徴であるのはよく知られていますが、「グエムル」は女性的な怪物だといえるかもしれませんね。
そう思って見ると、ラストで、ヒョンソと少年を怪物の口の中から引っ張り出すのは「出産」を思わせます。
カンドゥがあの子を引き取るのも納得ですね。
そういえば、この映画は「家族」を描いていながら、「母」は徹頭徹尾不在です。
男系社会における、「母親」というものへのまなざしについても、ちょっと思いを馳せてしまう作品なのでした。