鈍器の証明

母なる証明 (幻冬舎文庫)

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ポン・ジュノ監督の『母なる証明』を観てきたッス。


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知的障害のある青年(ウォンビン)が、女子高生殺しの容疑で逮捕された。彼の母は、その無実を証明すべく奔走する…というシンプルなお話です。韓国の田舎のヌメっとした感じや、(息子の知的障害もあって)過剰に親密な家族の描写は、同じ監督の『殺人の追憶』や『グエムル〜漢江の怪物〜』に通じるものがありました。

殺人の追憶 [DVD]

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グエムル-漢江の怪物-(スマイルBEST) [DVD]

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ですが、これらの映画にあった悪ノリ的なギャグ(遺体を解剖した後で焼肉を食べたり、軍の施設から脱走したら周りで兵士がのんきにバーベキューやってたり)はやや影をひそめ、よりシリアスで重厚なドラマになっています。


ウォンビンの演技も見ものでした。日本の映画やドラマで知的障害者を扱うと、どうしても「無垢」とか「ピュア」とかいう天使のようなイメージで描くことが多いですが、この映画ではリアルに人間として描かれており、その場しのぎの思いつきでデタラメを言ったり、些細なことでヘソを曲げてみたり、といった不愉快なことも逃げることなく映し出しています。


被害者の遺体が発見されたときの状況を巡る推理合戦は、本格ミステリの味わいもありました。京極夏彦ファンなら『鉄鼠の檻』を思い浮かべるとわかりやすいと思います。

分冊文庫版 鉄鼠の檻(一) (講談社文庫)

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「イヤなことを忘れるツボ」という伏線も利いているし、韓国映画で暴力を描くには欠かせないアイテムである、鈍器もしっかり登場します。『オールド・ボーイ』ではハンマー、『チェイサー』ではハンマーにノミ、それにパイプ椅子でしたが、今回はパイレン(パイプレンチ)が登場してきます。

パイプレンチ 300mm WG-02

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そりゃ、コレで殴ったら死ぬわな。


今日ぼくが観た劇場のお客は、韓流ファンとおぼしきおばさんが6、ポン・ジュノファンとおぼしきボンクラ風が4といった割合でしたが、おばさん方にも満足いく出来だったのではないでしょうか。


あと、被害者の友人で携帯の改造屋をやっている女子高生(顔に傷のある子)がいとうあさこそっくりだったのも印象深いのですが、それは本筋にはぜんぜん無関係です。