愛の骨格

高橋留美子の『めぞん一刻』では、主人公の五代くんは何度となく響子さんにひっぱたかれます。ギャグとしての暴力表現によるビンタもあれば（他にも、分厚い百科事典で殴られる、顔面に中身の入った缶詰を投げつけられる、お湯の入った洗面器をぶつけられる、僧帽筋に歯型がつくまで噛みつかれるなどの過激な暴力を受けている）男女のシリアスな修羅場としてのビンタもあります。

これは保育士試験の前日だというのに、三鷹さんとケンカしながら飲んだくれていた、五代くんの体たらくに怒った響子さんのビンタ。これでさすがに気持ちが引き締まる五代くんなのでありました。

これは、優柔不断な五代くんが、こずえちゃんとの関係を切れないことにキレた響子さんのビンタ。前出のは手首のスナップが利いていて、フォロースルーもしっかりしていましたが、こちらはあえて打ち抜かず当てた状態で止めることにより、衝撃を１００％顔面に伝えているのがわかります。技法としては鎬紅葉の打震に近いです。

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このように、響子さんはわりと本気で五代くんの顔面に打撃を食らわしているのですが、実は五代くんも、２回だけ響子さんの顔面を打ったことがあります。

五代くんがまだ学生だったころのエピソード。五代くんと口論になった響子さんが、屋根から落ちそうになっても意地を張って助けを求めなかったので、五代くんがさすがに怒りました。

この、響子さんのびっくりした表情がいいんだよなぁ。「ぴちゃっ」というオノマトペも、ほっぺの柔らかさと丸みが伝わってくる感じで、なんともいい。五代くんはこの後、響子さんの替わりに窓から落ちて左足を骨折しますが、まぁ男子の本懐といっていいでしょう。

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終盤にも、ラブホテルに置き去りにされた朱美さんを迎えに行った五代くんが、誤解して怒った響子さんのほっぺを叩く場面があります。

ここでも、叩くとはいっても実際はほっぺに触ってるだけですね。まぁ本気で叩いちゃったら読者が一斉に引くだろうけど。

以上を踏まえて、このニュースを見てみましょう。

「秒速で１億円稼ぐ条件」の与沢会長、専属運転手殴り送検　「触っただけ」否認 - MSN産経ニュース

　専属運転手だった男性（４３）を殴って軽傷を負わせたとして、警視庁麻布署は２２日、傷害容疑で、インターネット関連会社「フリーエージェントスタイルホールディングス」の与沢翼会長（３１）＝東京都港区＝を書類送検した。同署によると、「右ほほを触っただけ」と容疑を否認している。

　送検容疑は９月２６日午前２時４５分ごろ、港区西麻布の路上で、専属運転手だった男性が指示された駐車場所を通り過ぎたことに激高し、男性の顔を平手で殴り、全治２週間の軽傷を負わせたとしている。

　与沢会長は飲食店で酒を飲んだ後、別の飲食店に向かう途中だった。男性は同月３０日に同署に被害届を提出しており、「駐車場所を修正しようとしたら『ここで降りる』と言われ、ドアを開けたら『寝ぼけてるのか』と言われて殴られた」と説明しているという。

　同社はネット上で売り上げなどに応じて報酬を支払う「アフィリエイト広告」で業績を伸ばし、与沢会長は「秒速で１億円稼ぐ条件」などの著書で知られる。

　同社は「事実確認中。担当者が不在で、何も話せない」としている。

徳洲会病院の徳田虎雄理事長は、赤信号で止まるたびに運転手を缶入りのお茶で殴っていたといいますが、ヨザーさんはお優しいですなぁ。ほっぺを触るだけで済ませるんですからねえ。

（イメージ映像）

激高してほっぺを触るなんてのは、五代くんと響子さんぐらいの深い愛情がなきゃできん行為ですよ、うん。

ちなみに事件の日付は、前園真聖やヤンジャン編集長がタクシー運転手に暴行して逮捕されたときより半月ちょっと早いですね。ヨザーさんにも横山やすしの霊が乗り移ったんですかね。

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