HELTER SKELTER

かのビートルズが初来日公演を行ったのが、今からちょうど40年前の、1966年6月30日から7月2日。

ということで、ここ数日はビートルズの話題が目立っています。

ビートルズ・レポート―東京を狂乱させた5日間 (話の特集−完全復刻版)

ビートルズ・レポート―東京を狂乱させた5日間 (話の特集−完全復刻版)

ビートルズ来日にまつわるさまざまな騒動は、こちらの本に詳しいです。

コンサートのレポとしては、こちらの本に大仏次郎三島由紀夫のレポが載っています。

いずれのレポも、過剰な警備ぶり貧弱な演出・音響について語っています。


警備の過剰さについては、翌年に控えた安保延長反対闘争への予行演習であった、とも言われていますね。

三島が書いているように、武道館ではその前月にファイティング原田vsエデル・ジョフレの世界バンタム級タイトルマッチが行われており、こちらでの観客の熱狂はビートルズをも凌いでいたと思われます。

それなのに、警備は比べ物にもなりませんでした。


当時から、「大人の理解できないものに熱狂する危険な若者」に対する恐怖というものがあったのですね。


また、ビートルズの演奏している映像を観ると、その音響はたしかに貧弱です。

これは時代が古いせいだけじゃないですよね。クリームなんか当時すでに「近所の養鶏場のニワトリが卵を産まなくなった」といわれるほどの大音響でプレイしていたのだから。

ライヴ・クリーム VOL.2

ライヴ・クリーム VOL.2

観客の歓声で演奏が聞こえない、というのが当時の彼らの悩みでもあったそうですが、嬌声も吹っ飛ばすほどの音響でお客をKOするという発想は浮かばなかったんでしょうね。


こちらの本は、キョードー東京創始者である永島達司氏の伝記。

ビートルズ来日の狂騒の中、意外に冷静だった当事者たちの姿が描かれています。

当時の共同企画でタレントの世話をしていた中村実氏いわく、「60年代の半ばまではあまり嫌な思い出というのはないですね。
ハードロックのめちゃくちゃな連中がやって来るようになってからは苦労も多かったけれど」
とのこと。


「ハードロックのめちゃくちゃな連中」というのはたぶんレッド・ツェッペリンのことでしょう。
http://www.asahi-net.or.jp/~hr8t-tnk/japan.htm

いまやビートルズは「団塊の世代」のアイテムとして完全に市民権を得て、お父さんたちが息子に薦めても差し支えないものとされていますが、ツェッペリンがそうなる時代は来るんでしょうか。