処置室では、あなたの悲鳴は誰にも聞こえない
最近、はてな界隈では「中絶」がホットらしいです。
- アーティスト: セックス・ピストルズ
- 出版社/メーカー: EMIミュージックジャパン
- 発売日: 2009/07/01
- メディア: CD
- クリック: 172回
- この商品を含むブログ (43件) を見る
それはさておき。
若い夫婦が、経済的事情により中絶をする。
それ以来、夫婦は胎児の幻影に悩まされる。
「さ…寒いよう 暗いよう どうしておれをこんな冷たい闇の中へほうり出したんだよう
あの栄養の絶え間なく流れ込んでくる 暖かい母胎へ帰りたい 帰りたいよう」
妻は精神に異常をきたしていたのだった。
(↑いま手元にないのでセリフはうろ覚えです)
中絶反対派も容認派も必ずブルーになるという破壊力満点の作品です。
この作品が収録されていた単行本が、「胎児異変 わたしの赤ちゃん」でした。(ひばり書房より刊行、現在は絶版)
人間の母親から、トカゲやサルの赤ちゃんが生まれるようになり、もはや人間が人間を生めなくなるというストーリーの表題作。当時の日野先生はこういうモチーフを選んでいたんでしょうか。
この本、友人のid:dd00269968くんのうちで読ませてもらったのですが、当時、彼の奥さんが妊娠中だったので、「胎教に最悪」と思ったのを覚えています。
その子も今はつかまり立ちをするようになりました。よかったよかった。
「わたしの赤ちゃん」は、現在はこちらに収録されています。
- 作者: 日野日出志
- 出版社/メーカー: マガジン・ファイブ
- 発売日: 2004/12/01
- メディア: コミック
- クリック: 7回
- この商品を含むブログ (24件) を見る
ホラー的には、「望まない妊娠」を描いたものは多くありますね。
- 出版社/メーカー: パラマウント・ホーム・エンタテインメント・ジャパン
- 発売日: 2006/08/11
- メディア: DVD
- クリック: 6回
- この商品を含むブログ (18件) を見る
もう少し暴力的な表現に目を向けると、「エイリアン」における「体内に卵を産み付けられる」という恐怖が、女性が持っている「レイプと妊娠への恐怖」である、という指摘は昔からよくなされています。
- 出版社/メーカー: 20世紀フォックス・ホーム・エンターテイメント・ジャパン
- 発売日: 2006/03/03
- メディア: UMD Universal Media Disc
- この商品を含むブログ (4件) を見る
また、夫の側から見た「望んでいない妊娠」を描いた作品には、デヴィッド・クローネンバーグの「ザ・ブルード 怒りのメタファー」があります。
- 出版社/メーカー: ハピネット・ピクチャーズ
- 発売日: 2003/09/25
- メディア: DVD
- クリック: 2回
- この商品を含むブログ (7件) を見る
「悪魔の赤ちゃん」は、「避妊の失敗によって、怪物化した子供が生まれる」という、ちょっと宗教右派的ともいえる設定を持っています。
- 出版社/メーカー: ワーナー・ホーム・ビデオ
- 発売日: 2006/07/14
- メディア: DVD
- この商品を含むブログ (5件) を見る
親になるというのは、父親にとっても母親にとっても不安なことなのでしょうね。
- 出版社/メーカー: ワーナー・ホーム・ビデオ
- 発売日: 2005/11/18
- メディア: DVD
- クリック: 9回
- この商品を含むブログ (24件) を見る
- 出版社/メーカー: 20世紀 フォックス ホーム エンターテイメント
- 発売日: 2006/06/16
- メディア: DVD
- この商品を含むブログ (26件) を見る
人生の悲劇の第一章は親子となったことにはじまっている
さてさて。
どうもここ数日の中絶に関する言及を見ると、「レイプされて妊娠した場合の中絶は是か非か」みたいなのが問題になってるらしいです。
それって、「チェストバスターは摘出すべきか否か」ってことですか。
あと、こちらの記事のコメント欄なんか見ますと、「本気で抵抗しない女も悪い」なんて論調もまだ生き残っているようです。
そういう人は、本当の暴力というものの恐ろしさを知るためにこちらを見るといいでしょう。
男と女の間には、前田日明と坂田亘くらいの戦闘能力の差があるもんなんですよ。