幻の田園コロシアム
こちらのエントリが話題になっているようです。
「福島瑞穂の迷言」という都市伝説について(事務所コメント付) - 荻上式BLOG
ネットでちょくちょく見かける、福島瑞穂の発言という以下のようなコピペ。
何年か前の「朝まで生テレビ」での再現。
その日のテーマは「警察官の拳銃使用について」。
福島「警察官の拳銃使用は絶対反対。犯罪者と言えども
人権はある訳ですしぃ〜、犯人には傷一つ付けてはいけない。
例え凶器を持った凶悪犯と言えども警察官は丸腰で逮捕に向かうべき」
田原「そんな事して、警察官が殺されたら?」
福島「それは警察官の職務ですしぃ〜〜」
(「ええっ〜」と言う驚きの声がスタジオ中に響き渡る)
その声にまずいと思ったか福島が続ける。
福島「それに犯人がそんなに抵抗するんだったら無理して逮捕する
必要は無いと思うんですよぉ〜、逃がしても良い訳ですしぃ〜」
田原「じゃっ、逃がした犯人が別の所でまた人を殺したら?」
福島「それはそれで別の問題ですしぃ〜」
(他のパネリストの「おい、おいっ」という声と共にスタジオ中に 失笑が漏れる。)
それ以降、福島に発言を振らなかったのは司会の田原総一郎の良識か?
これは、ネット右翼を含む自称保守の人たちがよくネタにしており、その筋では少佐の「諸君、私は戦争が好きだ」と同じぐらい人口に膾炙しているようです。
たとえばこちら。
ですが、「成城トランスカレッジ!」管理人のchiki氏の調査によると、これはまったくの捏造である可能性が高いとのこと。
こういう、ネットで見かけただけのものをさも自分の体験か見聞のように語るということの危険さについて、われわれブロガーは自覚しておかねばなりません。
ということで、このDVDを紹介します。
新日本プロレスリング THE REVIVAL~復活~ Vol.11 [DVD]
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これは、昭和56年9月23日、田園コロシアムで行われた新日本プロレスの試合を収録したもの。
藤波辰巳vsエル・ソリタリオというシブ過ぎる試合、(このDVDには未収録ですが)初代タイガーマスクが太陽仮面エル・ソラールの腕を折ったアクシデント、アンドレ・ザ・ジャイアントとスタン・ハンセンの超ド迫力肉弾戦(必見)、アントニオ猪木vsタイガー戸口という緊張感に欠けるメインエベントまで盛りだくさんの内容。
そしていちばんの見ものは、ラッシャー木村による「こんばんは事件」でしょう。
この試合の前月に、木村さんたちが所属していた国際プロレスが崩壊。
所属していたレスラーがそれぞれの道を行く中、木村さん・アニマル浜口さん・寺西勇さんの三名は新日本プロレスへ参戦。
メイン前のセレモニーで、リングに上がった国際軍団。
リングアナウンサーから紹介を受け、木村さんがマイクを持ちました。
「はぐれ国際軍団」として猪木に挑戦する、というアングルからいえば、かなり激しいマイクアピールが期待されたところです。
「猪木!新日本プロレスなんか俺たちが潰してやる!」
ぐらいのことは言ってもいいでしょう。
しかし木村さん。満員の客を前にしてアガったのか、ものすごく生真面目な調子で
「え〜。こんばんは」
とやらかしてしまったのでした。
場内からは失笑が漏れ、あわててマイクを奪った浜さんが吠えたものの、弛緩した雰囲気はついに締まらず、メインの猪木vs戸口はグダグダな空気のままで闘われることに。
で、これで終われば単に木村さんのポカだったんですが。
この発言は、「ビッグレスラー」誌上で、プロレスファンでSF作家の高千穂遙により、笑いのネタとして高評価を受けます。
また、ビートたけしもこの発言を好んでネタとし、「こんばんは、ラッシャー木村です」というのが人口に膾炙することになりました。
その後、第一次UWFを経て全日本プロレスへ移籍した木村さん。
マイクアピールを売り物として、息の長い活躍をされていたのはみなさまご存知のとおりです。
しかし。
一般に、木村さんの「こんばんは事件」というと、
「みなさんこんばんは。ラッシャー木村です」
と発言した、と思われていることが多いようです。
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しかし、実際の映像を観ると、木村さんは
「え〜。こんばんは」
と言っています。
福島議員の発言はソースが確認できていないようですが、木村選手の発言はしっかり映像記録が残っていますので、プロレスファンとしてメディアリテラシーの向上に努めるようにしましょう。
ハンセンとアンドレの闘いがいかにスゴかったか、というのもしっかり確認しておきましょう。