その灯を消すな

新聞のラテ欄を見たら、「ワールドプロレスリング」のところに「海賊男!?」と書いてありました*1


最近の新日は全然チェックしていなかったので驚き、どういうことかとググってみたところ、「レッスルランド」とかいうハッスルっぽいイベントをやっているのだそうですね。


そこで、魔界倶楽部を復活させた星野勘太郎総裁が、海賊男に手錠をかけられて拉致されるという衝撃のアングルが展開されたとのこと。
http://hochi.yomiuri.co.jp/battle/prowrestling/news/20060514-OHT1T00009.htm

なんでこう、古傷をえぐるようなことをするのかなぁ。

新日本プロレス「崩壊」の真相 (別冊宝島 (1260))

新日本プロレス「崩壊」の真相 (別冊宝島 (1260))

この本でミスター高橋が語ったところによると、あの意味不明なマサ斉藤拉致は、本当は猪木に手錠をかけるはずだったのが、海賊男役だったブラック・キャットの誤解によって斉藤に手錠をかけてしまい、試合はグダグダになり、結果としてあの火暴につながったとのことでした。


この作品では、闘狂大学プロレス研の8年生、猪木ファンの奥飛堀三(おくとばすほるぞう)が登場。

秘蔵のプロレスグッズとして、火のついたロウソクを見せます。
それは大阪城ホールの火災から取ってきた火」でした。


1987年3月26日、大阪城ホールであの暴動に立ち会った奥飛。
観客が放った火を見た彼は、

「なんてバカなことをするんだ。キサマらなんか新日ファンじゃない」

と思います。しかし、別の思いもまた彼の胸に湧き上がりました。

「忘れちゃだめだ」

今日の新日は最低だ。放火なんかするファンも最低だ。
何もかも最低だ。だからこそ忘れちゃダメなんだ。

この屈辱をバネにして、きっと新日は甦る。


そう思った奥飛は、手に持っていたパンフにその火を移し、会場のいちばん近くのコンビニに飛び込んでロウソクを買い、以来数年にわたってその火を守り続けてきた、というのでした。


この話が描かれた92年は、前年にUWFが崩壊したことからプロレス界に揺り戻しが起こり、闘魂三銃士の台頭やジュニア戦線の充実によって、新日本プロレスは第三期黄金時代を迎えようとしていた時期でした。

奥飛は言います。
「この火のことを忘れなかったから、
新日はみごと甦り、今の隆盛がある。
だからこの火は最高のプロレスグッズなんだ」


その後、新日本プロレスは90年代を通じて名実共にプロレス界の盟主として君臨しますが、21世紀に入るとプロレス界そのものの地盤沈下を象徴するがごとく低迷、多くのファンが離れていくことになりました。


やはり、みんなあの火のことを忘れてしまったんでしょうか。

*1:宮城県では東京より一週遅れで放送。