弘樹・梅宮、世界を釣る
本日は「沖縄やくざ戦争」を観ていたのです。
東映実録路線の一つとして、「仁義なき戦い」シリーズ完結後の1976年に公開されたこの映画。
本土復帰直前の沖縄はコザ市において、実際に起こった抗争事件を元に、地元ロケを敢行した作品です。
オープニングから、ソニー千葉先生の魅力が大炸裂。
本土から進出してきた居酒屋チェーン(「呑兵衛天国」というイカス店名)に子分(地井武夫)たちとともに乱入した千葉ちゃん。
いきなり、客が飲んでいるビール瓶を手刀で切り、回し蹴りで砕き、テーブルを破壊し、店長を半殺しにします。
そこに突入して止めに入る、弟分の松方弘樹。
この時点では、冷静なツッコミ役です。
弘樹の子分の室田日出男が、縄張り荒らしの落とし前としてペンチでチ○コを切断されても、決して逆ギレはしません。
沖縄では、本土やくざの進攻に対して大同団結し、無用の争いを避けようとする動きがありました。
しかし、その動きに真っ向から歯向かうのが、大のヤマトンチュー嫌いの千葉ちゃん。
「戦争する気か!」と言われても、
「いいじゃないの、戦争ダ〜イスキ♪」
と言い放つほどです。
…「戦争大好き」というあたりは、モンティナ・マックス少佐か、ドロシー・カタロニアと並び称されるでしょうね。
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千葉少佐の勢いは止まらない。
観光でやってきた本土やくざの曽根晴美が、ナイトクラブでいい気分になって「清水港の名物は〜♪」と歌っていると、いきなりテーブルの上に飛び乗り、
「誰か三線弾けぃ!」
と怒鳴ると、三線をバックに「はぁ〜」と空手の演舞を始めます。
これがもう超サイコー。関根勤さんのモノマネは、たぶんこれを元にしています。
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そんで、店を出た曽根晴美をアメ車で轢殺する千葉ちゃん。
理事長の織本順吉と若頭の成田三樹夫は、もはや千葉ちゃんを見限り、松方弘樹を連れて大阪へ出向き、幹部の梅宮辰夫に詫びを入れます。
このことに激怒した千葉ちゃん。
帰ってきた松方に、
「24時間以内にこのコザから出て行けぃ!おのれら見かけたら、全員タッ殺したる!」
と、退去命令を出します。
しかし、その夜には松方の妻の新藤恵美の店を訪れ、
「チョーデイ(兄弟)と飲みたくなっちゃった…」
と言うのだからワケがわからない。
結局、松方を待っていた店で、渡瀬恒彦と尾藤イサオに射殺されます。
この死に方がまたすごい。
銃弾を撃ち込まれて「ぐおー」と悶絶、ガクっとヒザをついてからバターンと前のめり、江頭2:50みたいにピーンと倒立したあげくにドターンと一回転して倒れます。
役者魂を見せ付けられましたねぇ。
千葉ちゃんの死後は、松方とチイチイの内部抗争になり、部下がどんどん殺されていきます。
金欠の松方のため、妻の新藤恵美はソープに身売りして金を作りますが、その金を松方に届けようとする矢吹二朗は、志賀勝に捕まって両腕をへし折られ、車ごと崖下に転落。
三上寛と片桐竜次と成瀬正は、自分の墓穴を掘らされた挙句に埋められます。
追い詰められた弘樹は、梅宮辰夫に土下座して金を借り、米軍から横流しの武器を買って反撃に。
ガングロのやくざがみんな迷彩服に身を包み、機関銃で武装したジープに乗ってコザの街を爆走するというシーンは奇跡的なカッコ良さ。
サバゲーマニア垂涎でしょう。
チイチイを射殺した弘樹ですが、それも結局は成田三樹夫と梅宮辰夫の掌の中で踊っているに過ぎません。
チイチイを殺したら自分を理事長にする、という約束を反故にされた弘樹は、理事長の織本順吉を尾藤イサオに射殺させ、最後の敵であるアンナパパ&ミッキー成田を狙います。
後年のテレビ番組で見せる姿を先取りしたかのように、クルーザーで海釣りを楽しむ梅宮辰夫を、渡瀬恒彦運転のモーターボートで襲撃した松方弘樹。
「オレにも釣らせろ!」という怒りがこもった銃撃で、成田三樹夫と、ボディガードの志賀勝を射殺しますが、反撃によって渡瀬恒彦を殺され、梅宮辰夫を残して去っていくのでした。
「勝負は釣りでつけようや」
ってことだったんでしょうか。