実はまだ二階にいるのです
本日は、実写版「めぞん一刻」を観ておりました。
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河合美智子以外はけっこう似ています。
あと、原作に登場しないオリジナルキャラとして、
が登場。この二人が主にストーリーを動かすことになります。
田中邦衛の役どころは、朱美さんが勤める「茶々丸」に通う、謎めいた客。
中盤で、かつて妻が間男と心中した、という過去を持っていることが明らかになります。
萬田久子の役どころは、四谷さんにストーカー的につきまとう謎の女。
かつて男に捨てられ、入水自殺しようとしたところを四谷さんに釣り上げられたという過去を持っています。
生きることに意味を見出せないこの二人の、アンニュイかつ露骨に性的な会話が、中盤以降の話の中心になります。
二人とも、最初は道連れを求めて一刻館に通っていたのですが、あの面々との触れ合いの中で、次第に生きる意欲を取り戻していきました。
二人がそれまでまとっていた服を池に浮かべ、「すわ心中か」と周囲が色めき立つというエピソードは、彼らがそれまでの「タナトスに取り付かれた自分」を擬似的に葬り、新たな生に向かって再生することを表しているのでしょう。
ご丁寧に、それまでずっと絶えていたという萬田久子の生理がはじまり、その脚を鮮血が伝うというシーンまであります。
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響子さんと田中邦衛が、夜の公園でブランコに乗り、観念的な話をするあたりはちょっと「ラブレター」の仲谷昇と関根恵子を思わせるものがあり、全体的ににっかつロマンポルノっぽい空気だなーと思っていたら脚本はやっぱり田中陽造でした。
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考えてみたら、「死に取り付かれていた人物が、騒がしい人々との触れ合いによって新たに再生する」というテーマは「めぞん一刻」そのものなんですよね。
途中でいきなりミュージカルになるあたりをさして「怪作」といわれることの多いこの作品ですが、意外と原作のエッセンスを抽出していたのではないかとも思われます。
しかし。
田中邦衛と萬田久子が生きる気力を取り戻し、家出していた五代くんも一刻館に帰ってきて、めでたしめでたしで終わるわけですが。
そこに流れるテーマソングが、ギルバート・オサリバンの「アローン・アゲイン」なんですよねー。
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またみんなといっしょに生きていこう、と主人公たちは決意するのですが、そんなに簡単に人間は理解し合えるものではない、結局ひとりでしか人間は生きていけない、という諦念みたいなもんが込められているんでしょうか。
まぁこういう「実はまだ二階にいるのです」的なオチは高橋留美子作品にはよくみられますけどね。
「うる星やつら」や「らんま1/2」、「めぞん一刻」にしてもそういうテイストでしたし。
そういえば、「めぞん一刻」ドラマ化という話がありましたがあれはどうなったんでしょうかねぇ。
「実はまだ棚上げされているのです」というオチですか。