乱世の奸雄
世の中には、トンデモさんといわれる方々がちょくちょくいらっしゃいます。
いわく、「南京大虐殺は中国の捏造である」
いわく、「集団登校の児童の列に車が突っ込む事故は、国家権力の陰謀である」
いわく、「アポロ宇宙船は月へ行っていない」
この辺は「と学会」の本をいくつか読めばゲップが出るほど味わえます。
で。
ビリーバーの皆さんというのは面白いもので、いかに完全に論破されたとしても滅多に自分の誤りに気付くことがありません。
奇妙な論理〈1〉―だまされやすさの研究 (ハヤカワ文庫NF)
- 作者: マーティンガードナー,Martin Gardner,市場泰男
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 2003/01
- メディア: 文庫
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進化論に対する攻撃としては、最近話題になったインテリジェント・デザイン説とほぼ同じ主張がダーウィンの時代からずっと続けられています。
1926年には、イギリスのヒレーア・ベロックというカトリック教徒が、H.G.ウェルズの「世界史概観」を攻撃する本を出したことがありました。
- 作者: H.G.ウェルズ,長谷部文雄,阿部知二
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 1966/06/20
- メディア: 新書
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その本は、マーティン・ガードナーいわく
「怒りながらもおかしみを感じさせる気分で書かれており、論争のお手本とでもいうべき小傑作である」
「文学的論争の歴史上、これほど決定的勝利をおさめた例はほとんどない」
というほど完全にベロックの主張を論破していたものでしたが、面白いことにベロックは「ベロック氏はなおも反論する」という反論のパンフレットを出版して、さらにドツボにはまるという事態になったそうです。
論破というものは難しいものです。
どんなに正しいデータや確実な根拠によって妄想を論破したとしても、相手が自分の敗北を知覚できなければ、本当に論破することはできません。
論破される側にもそれなりの能力が必要なのです。
さてさて。
「論破される能力を持たない」人物の実例を挙げておきます。
http://blog.goo.ne.jp/funamushi2/e/f3a4fa4573b66cdf71183196cd8a18e2
http://blog.goo.ne.jp/funamushi2/e/93a8dd80f8526d9625995a6d0de29d71
http://blog.goo.ne.jp/funamushi2/e/461624aa8663cde1701a5f12d570e1c0
http://blog.goo.ne.jp/funamushi2/e/d808a2aa1d31a7efd561425d6c09a7ca
http://blog.goo.ne.jp/funamushi2/e/59c9a679f639472853c2f7aa2096d24a
http://blog.goo.ne.jp/funamushi2/e/3a5b2643eb2aee445fade846d75c8ecb
http://blog.goo.ne.jp/funamushi2/e/b493c91408af56d1defd4555d4c128a2
http://blog.goo.ne.jp/funamushi2/e/7c19378a82a966b1fb9e43d3ac24580c
この一連の記事は、id:Leiermannさんの書かれた記事http://d.hatena.ne.jp/Leiermann/20051224/p1に対して、「ゆがんだはしご」さんが「うつ病なんて病気は存在しない。単なる甘えだ」と書かれたのを巡ってなされたやり取りです。
すごいのが、Leiermannさんやτさんがいくら資料やデータを示してもまったく動じないということ。
…いやぁ、強い方ですねぇ。
記事中で、こう書いておられます。
可笑しいと思う事に対して、ありのままの意見を述べる事を恥じる事など無いですよ。
ヴァカはヴァカなりでイイですよ。難しい論理を組み立てる必要も無いですよ。言いたい事を、感情のままに発信するのが、個人ブログの特権なんですよ。
自分の記事を批判されるとこう言っていらっしゃいますが、だったらなぜ他人が感情のままに発信した記事を批判したんでしょうか。
「俺は他人を感情のままに批判するが、他人が俺を批判することは許さない」
というのは、みんな本音の部分では持っていることでしょうが、それを高らかに宣言されるとちょっと困ってしまいます。
そういえば「三国志」のはじめの方で、曹操が「俺が天意に逆らっても、天が俺に逆らうことは許さん」と言ってたなぁ、と思い出したのでした。
- 作者: 横山 光輝,潮出版社コミック編集部
- 出版社/メーカー: 潮出版社
- 発売日: 2003/04/17
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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きっとこの方も、乱世の奸雄となる方なんでしょう。