恐怖の町

<昨日より続く>

冴子が狂わせ屋だと突き止めたSRIは、彼女におとり捜査を仕掛ける。

牧隊員とさおり隊員を恋人同士に仕立て上げ、野村隊員が彼女を轢き殺した、という設定にしたのだ。
「父の形見」という設定の軍用拳銃を懐にしのばせ、墓参りをする牧に、冴子は接触する。

ここで牧が持っている拳銃は、ちゃんと旧日本軍で制式採用されていた南部十四年式自動拳銃です。
ワイルド7」では八百が使ってたやつですね。

冴子は、牧に自分の忌まわしい過去を語る。

彼女には、かつて脳波の研究で学会でも注目されていた夫と、子供がいた。
しかし、ある日精神異常者によって夫と子供は無残に殺され、犯人は無罪となった。
それ以来、彼女は「精神異常者の犯罪が無罪になるような社会に復讐するために」亡夫が研究していた脳波変調機を利用して、精神異常者による殺人を起こさせるようになったのだ。


冴子の重すぎる過去を、的矢所長に電話で報告する牧。
所長からは、「安全のために、弾丸は抜いておけよ」と指示を受ける。
しかし、連絡をするその姿は冴子に見られていた


脳波変調機を積んだトラックに乗った牧と冴子を、町田警部が尾行していた。
しかし、折悪しく踏み切りの遮断機が降り、見失ってしまう。

いよいよ、電極を頭につけて変調機にかけられる牧。
「ところで言い忘れたけれど、彼を襲う場所を変更したわ…もう誰にも邪魔されないわ…思う存分、あなたの仲間を殺す事ね。SRIの牧さん!」
南部十四年式に、実弾を込めていく冴子。

どこで拳銃弾を入手したのか、という疑問はスルーすることにします。

冴子は、牧に実弾入りの拳銃を渡す。
「さ、殺すのよ」

町を歩く野村の前に、うつろな目をした(目の下にクマも出来ている)牧が現れ、拳銃を乱射する。
「殺してやるー!あはははは!あはははは!」
「助けてくれー!キチガイだー!」

逃げる野村、つまづいて転倒する。狙いを定める牧。


しかし、間一髪のところで警官が牧を羽交い絞めにする。


一方、的矢所長とさおり隊員は、逃げる冴子を追い詰めていた。
もう逃げられない、観念した冴子はトラックの荷台に隠していた脳波変調機を自ら装着し、目盛りを最大にセットする。

この台詞はインパクトありますね。
普通、「どうしたんですか、牧さん!」とか言うでしょう。

すぐに正気を取り戻し、皆に謝る牧。SRIには平和な日常が戻ってきた。
的矢所長「言って見れば完全犯罪製造機か。日本の様に精神異常者が野放しになっている国は無いのだから、政府ももっと考えてくれなくちゃねぇ」

冴子は、急激に大きなショックを与えたため、もはや一生正常に戻ることはなく、精神病院に収監されている。
今日も、彼女はうつろな表情で鉄格子のはまった窓の外を見つめ、物悲しい童謡を口ずさんでいる。
「かーらーすー、なぜなくのー、からすはやーまーにー…」
ふいにその表情がくもり、


「ギャアーーーーーッ!!」

絶叫が、主題歌「恐怖の町」のイントロの絶叫にかぶり、エンディングロールが流れます。

怪奇大作戦 ミュージックファイル

怪奇大作戦 ミュージックファイル

…いやぁ、すごかった。
こりゃぁ放送はムリだわ。


精神異常→殺人と短絡的に結び付けている、と言われても反論できない内容ですね。

脳波変調機によって精神を空白状態にし、そこに強烈な暗示を与えて殺人を教唆する、とかそういう描写でもあればまだいいんですけど、そういうエクスキューズが一切ないんですよ。

それに、所長の台詞は明らかに現実に反しています。
日本ほど、精神病患者を隔離して押し込めておく国の方が少ないでしょう、実際。

まだ、この問題を扱うほどには世間の問題意識が成熟していなかったんでしょうな。

とはいえ、封印しておくには勿体無さ過ぎる傑作であることには間違いありません。

古いレンタル店にはまだビデオが置いてあることもありますので、もし見かけたら是非ご観賞をオススメします。