グッバイ・エディ・グッバイ

フモさんのところで「ファントム・オブ・パラダイス」が取り上げられていたのを見て、「おおっ」となりましたのでこちらでも取り上げることにします。

ファントム・オブ・パラダイス [DVD]

ファントム・オブ・パラダイス [DVD]

この映画は、1974年にブライアン・デ・パルマ監督が作った、ロック・ミュージカルの金字塔。
オペラ座の怪人」と「ファウスト」をベースに、デ・パルマ監督に特徴的な「グリングリン回るカメラ」「画面を二分割するスプリット・スクリーン」「覗き見する主人公」などを散りばめ、天才ポール・ウイリアムズによる名曲の数々で彩られた、甘美な悪夢のごとき一本です。

ロック界を牛耳る謎のプロデューサー、スワン(ポール・ウイリアムズ)。
多くのブームを起こしてきた彼は、次なるプロジェクトとして、ライフワークである「パラダイス劇場」に着手していた。

こけら落としにふさわしい名曲を探していた彼は、無名の作曲家、ウインスロウ・リーチ(ウイリアム・フィンレイ)のカンタータに目をつける。

オープニングでは、スワンがプロデュースするバンド「ジューシィ・フルーツ」が、50年代風ロックンロールを歌い踊ります。
この映画の大ファンだったという近田春夫が、後に同名バンドを結成したというのは有名ですね。

シングルス

シングルス

スワンは、見た目にはとっちゃん坊やというか、伊藤政則の金髪版みたいな感じで怪しさ満点です。

スワンは、ウインスロウの曲を盗み、自分の曲として発表する。
抗議しに行ったウインスロウは、そこでシンガー志望の少女フェニックス(ジェシカ・ハーパー)と出会い、彼女の声に惚れ込む。

しかし、スワンはウインスロウを門前払いにし、彼を罠にはめ、無実の罪で刑務所に送り込む。

なぜか、刑務所で歯を全部抜かれるウインスロウ。裁判から刑務所にかけてのシークエンスは、コマ落としのチャカチャカした動きでコメディーっぽく演出されています。

完成したパラダイス劇場で、「スワン作曲による」カンタータが上演されるとニュースで聞いたウインスロウは、激怒して刑務所を脱獄する。

しかし、逃げる途中でレコードのプレス機に顔を挟まれ、顔面に大怪我を負う。

顔と声を失ったウインスロウは、仮面を被り、ノドにエレクトリック・マイクを付け、復讐の鬼と化してスワンの前に再び現れる。

手始めに、冒頭の「ジューシィ・フルーツ」が今度は「ビーチ・バムズ」と改名してビーチ・ボーイズ風の曲を演奏する、リハーサル会場に爆弾を仕掛けるウインスロウ。
このシーンは、画面を真ん中で二つに分けるスプリット・スクリーンで描かれています。


こうして「ファントム」が登場するわけですが、悠然と待ち構えていたスワンにあっさり丸め込まれます。やっぱり社会性のないマニアと、大物プロデューサーでは人間力に差がありすぎるんでしょうな。

まだ未完成だったカンタータを、「フェニックスに歌わせること」を条件として作ることを約束するウインスロウ。

スワンは、彼に契約書へのサインをさせる。
そこには、「契約はスワンとともにある」と書かれていた。

オーディション場面でのフェニックスの歌と動きは、ジャニス・ジョプリンを意識したというクネクネした動きで、メチャクチャおかしいです

クスリを濫用しながら、不眠不休で書き上げるウインスロウですが、スワンはまたしても彼を裏切ります

大作を書き上げ、疲労困憊して眠るウインスロウを、スワンは壁に塗り込めて閉じ込める。
そして、フェニックスをバックコーラスとし、ゲイの肉体派シンガー、ビーフ(ゲリット・グレアム)をリード・シンガーとして起用することを発表する。

で、ファントムがどうなったかというと、、壁をぶち破ってあっさり脱出します。

いよいよ、パラダイスのこけら落としの日。
ドレッシング・ルームでシャワーを浴びるビーフの前に、「サイコ」風にファントムが現れる。


フェニックスのための歌を、他人が歌ったら殺す


そう脅され、逃げ出そうとするビーフだが、マネジャーに連れ戻され、無理矢理舞台に送り出される。

シャワー室のシーンでは、「サイコ」のナイフの代わりに便器をガッポンガッポンするゴムを持って襲い掛かります。

サイコ [DVD]

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この辺は、ヒチコックマニアで知られるデ・パルマらしいお遊びですね。


そして、いよいよパラダイスの幕が上がるわけですが、長くなりましたので続きは明日とします
とりあえず、DVDのリンクをもう一つ貼っておきますので、観てないという方は必ず買うように。
これが一枚995円というのは、世知辛い現代に生きる我々への福音としか
思えませんからねぇ。

ファントム・オブ・パラダイス [DVD]

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