最強のお笑いトリオは誰だ!

チャンバラトリオは四人なので除外するとしても、横山ホットブラザーズレツゴー三匹、新しくはポカスカジャンインスタントジョンソン安田大サーカスを思い浮かべる方も多いでしょう。
しかし、これらの強豪をも上回る笑いを提供してくれる三人組を見られる番組があります。

それは、「WOWOWエキサイトマッチ」です。

この番組は、主としてアメリカで行われる、ボクシングの世界タイトル戦やそれに準じたビッグマッチを放送する、先頃放送600回を迎えた、WOWOW開局以来の人気番組です。マイク・タイソンイベンダー・ホリフィールドや、オスカー・デラ・ホーヤバーナード・ホプキンスといった世紀のビッグマッチもこの枠で放送されています。
で、この番組に登場するお笑いトリオとは誰か。それは、実況の高柳謙一アナと、解説を努める浜田剛史ジョー小泉の両氏という三人です。

高柳氏は格闘技系で高い人気を持ち、ハイテンションながら冷静さを失わない実況には定評があります。
解説陣は、元世界チャンピオンの浜田氏による技術・戦術面と、事情通の小泉氏によるマネージメント戦略面の両面からのアプローチにより、ボクサーの動作が試合においてどんな意味を持つのか、この試合がボクシング界においてどんな意味を持つのか、よく理解できるまさに鉄壁の布陣と言えるでしょう。


しかし、この布陣は同時に、笑いの面においてもその鉄壁ぶりをいかんなく発揮してしまうのです。

ボクシング珍談奇談

ボクシング珍談奇談

小泉氏はプロモーター的な視点からの解説を得意とするので、ゴングが鳴ってしまえばあまり話すべきことがありません。しかしそれでは退屈なのでしょうか、隙を見てはダジャレを入れてくるのです。

このダジャレが寒いったらないんですよ、もぉ。

超トリッキーな動きから繰り出すハードなパンチで一世を風靡した「悪魔王子ナジーム・ハメドの試合では、「この試合で、日本のファンもハメドの動きに馴染ーむでしょう」。

メキシコの兄弟ボクサー、ブランコ兄弟の試合では「彼らも子供のころはブランコに乗って遊んだんでしょうね」。

デビュー以来30連続KO勝ちを収めたハードパンチャー、「ブラジリアン・ボンバー」アセリノ・フレイタスのブンブン振り回すパンチに対しては「今日は焦りのフレイタスでなく、落ち着きのフレイタスになって欲しいですね」。

・・・このダジャレに対する、高柳アナの超冷淡なツッコミも見ものです。
「えー、緊張感をお願いします」
「まぁ、そういうこともあったでしょう」
「小泉さん、それは今日2度目です」

すごいです高柳さん。クスリともしません。


で、この二人の陰湿な闘争をよそに独自の闘いを繰り広げる浜田氏。

挫折と栄光―ボクサー浜田剛史の生き方

挫折と栄光―ボクサー浜田剛史の生き方

この人の解説は実に的確で、精神論しか言えない元チャンプやら、不明瞭な発音のファイティング氏とは一線を画します。
しかし、南国出身のこの方には独特の訛りというかイントネーションがあり、おかしなことは何一つ言っていないにもかかわらず無性に笑えるという特徴を持っています。
この、「変なことは言ってないのに、言い方だけで面白い」という点においては、浜田氏と料理研究家土井善晴氏とで双璧を成していると言えるでしょう。
アクセントのことであり文章で説明するのは難しいですが、以前「ダウンタウンDX」で、松ちゃんが「タイソン耳噛んでますよ」という、タイソン対ホリフィールド戦における浜田氏の解説をモノマネしていたのをご記憶の方もいらっしゃるのではないでしょうか。「タ」と1つ目の「み」と「で」にアクセントをおいて読むとなんとなく近い感じになります。

この3人のバランスはすばらしく、時にリングが見えないほどの爆笑を産んでしまいます。
たまにゲストで出る香川照之氏もまったく太刀打ちできません。

お笑いブームの昨今ですが、この3人のユニットで本かDVDでも出してくれませんかねぇ。
「ワールドボクシング」増刊かなんかで(笑)