呪いのシャ・ナ・ナ・ナ

理由は自分でもわからないけど、映画館から足が遠のいて久しいワスですが、しばらくぶりに現場復帰いたしました。



まあ、結論からいえばめっちゃ面白かったですよ。ストーリーはシンプルで、「呪いのビデオ」を見てしまった女子大生(山本美月)と、佐伯家に足を踏み入れ伽椰子の呪いを受けてしまった女子高生(玉城ティナ)が、助かるために貞子と伽椰子をぶつけ合わせる、というもの。作中で貞子と伽椰子についてちゃんと説明もあるので、原シリーズをちゃんと観てなくても楽しめます。見どころはこちらを参照。


「貞子vs伽椰子」はハートフル百合ムービー 白石晃士・金田淳子「貞子vs伽椰子」そして「コワすぎ!」を語る (1/3) - ねとらぼ 「貞子vs伽椰子」はハートフル百合ムービー 白石晃士・金田淳子「貞子vs伽椰子」そして「コワすぎ!」を語る (1/3) - ねとらぼ


中盤から出てきて映画のテンションを支配する、常盤経蔵(安藤政信)と珠緒(菊地麻衣)の霊媒師コンビも実にいい味。言ってみれば、貞子と伽椰子という正統派Jホラーのアイコンを、邪道ともいえる白石ワールドがどこまで飲み込めるか、という戦いの映画であります。


貞子や呪いのビデオについての設定は媒体やシリーズによってブレが多く、安定していませんが、今回は「ビデオを見たものは2日後に死ぬ(オリジナルでは1週間後)」「除霊など邪魔をする者も殺される」「死因はいろいろ」「呪いを解除する方法はない」という感じです。貞子の生前とかその辺はとくに出てきません。


今回の映画では、貞子篇主人公の山本美月はともかく、友人の佐津川愛美、大学講師の甲本雅浩など、旧シリーズであれば呪いを解除されるであろう行動を取る人物も多いのですが、解除はされないようです。
呪い殺される前に自殺しようとしても、呪いを邪魔する行為とみなされその場で殺される、というのも今回の特徴。これは『DEATH NOTE』あたりとは正反対の考え方ですね。

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(映画版のLは、デスノートに「23日後に死ぬ」と書いたため、逆に23日後までは何があっても死なない)


伽椰子の呪いはシンプルに「家に入ったものを殺す」ですが、標的の身体の一部を触れずして消失させる謎の能力も出てきます。前からそんな技あったっけ?


貞子と伽椰子のバトルが開始されてからは場内も笑いが多くなり、髪の毛を武器にする貞子の新能力もブラフォード感があってバトル漫画っぽい面白さです。ネタバレは避けますが、ラストも笑いとホラーが良い感じにミックスされてて好感を持ちました。

聖飢魔IIの主題歌「呪いのシャ・ナ・ナ・ナ」が流れるエンドロールで「宣伝協力 藤商事」と出たときにも場内に爆笑が起こったので、あのシアターにいた観客はパチンカーが多かったものと思われます。「CR貞子3D」は従来の「CRリング」シリーズや「CR呪怨」を出していた藤商事ではなく高尾から出ていたので、その辺の版権がどうなるか注目していたのですが、どうやら「CR貞子vs伽椰子」は藤商事から出ると思われます。なお高尾は「CR DD北斗の拳」を出すので(従来の「CR北斗の拳」シリーズはサミーの看板商品)つくづくよそのコンテンツに手を出すのが好きな会社だなと思いました。たぶん「CR北斗の拳イチゴ味」もそのうち出ると思います。
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今回の『貞子vs伽椰子』は全体に不謹慎で人を喰ったムードがありましたが、その中で異彩を放つのが、玉城ティナが演じる伽椰子篇ヒロインです。
http://natalie.mu/media/eiga/1601/0125/extra/news_header_sadako_vs_kayako_201601.jpg
http://natalie.mu/eiga/news/173599
彼女は女の子が憧れるタイプのファッションモデルであり、女優という印象はなかったのですが、今回はとにかく怖い。ホラー映画では、怖がっている女性の顔を見せることで恐怖を演出するのが常套の手法ですが、痩せていて顔が小さく、それでいて目がギョロっとした彼女のルックスはホラー・クイーンに最適。まだ若いのに圧倒的な薄幸性を感じさせて、個人的には三輪ひとみ以来の逸材だと思いました。

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