黒の衝撃

2015年の「ブラック企業大賞」をセブンイレブン・ジャパンが受賞したことを、知らない方もいるのではないでしょうか。莫大な広告費を使う大スポンサーだけあって、メディアではほとんど取り上げられませんでしたので。


例年の大賞では、正社員として雇用した労働者を酷使する企業が問題視されてきましたが、2015年は、フランチャイズとして本部が一方的に有利な契約を結び、結果としてオーナーやアルバイトに劣悪な労働環境を押しつける、いわばブラック経営のアウトソーシングが注目され、受賞に至ったわけです。


で、遅まきながら大手新聞社でも取り上げられました。


本部社員から激しいパワハラ フランチャイズ、悩む店主:朝日新聞デジタル 本部社員から激しいパワハラ フランチャイズ、悩む店主:朝日新聞デジタル

 コンビニに塾、ファストフード。今や身近なフランチャイズ(FC)ビジネスでは、多くの店主が働く。本来は本部と「対等」な関係のはずだが、「上下関係」や過労に悩まされる店主が少なくない。

 コンビニ最大手「セブン―イレブン」の店主だった埼玉県川越市の大家史靖さん(42)は、「本部社員のパワハラに悩まされた」と話す。

 「練馬南大泉5丁目店」(東京都)の店主になったのは2007年。事前に「1日の売り上げはすぐに70万円になる」と説明されたが、「自分は届かなかった」。人件費を削ろうと、ほぼ毎日出勤。夜通しの勤務も週3日ほど入った。

 本部に払う「ロイヤルティー」は、「売上総利益」の半分以上。12年4月の損益計算書をみると、その額306万円。従業員の人件費などを引いて手もとに残った利益は14万円足らずだった。

 「店舗経営相談員」と呼ばれる本部社員の日々の来店指導も厳しかった。返品作業にミスがあると、商品のドライフルーツの袋を壁に投げつけて怒鳴ったという。社長の視察が決まると、事前に店を訪れ、鍋焼きうどんの食品棚を片足で指し「何で空いてんだよ」と客前でなじったという。

 13年5月、出勤途中に車を引き返し、山へ逃げた。数日後、病院に行くと「適応障害」と診断され、店主を辞めた。「弁護士に相談しても、雇用関係にないから難しい、といわれた。辞めるしかなかった」

 セブン&アイ・ホールディングスは「店への指導で多少強い口調になったかもしれないが、ものを投げたり商品を足で指したりなどはしておらず、パワハラはなかった」としている。

セブン&アイ・ホールディングスでは、経営陣の御家騒動により長年トップに君臨していた会長が辞任したばかりということもあり、こういう記事が出てきたのを見ると、マスコミへの圧力が弱まっているのかもしれません。
このロイヤリティービジネスは(関係ないけど「ロイヤルティー」と表記すると、発音としては間違ってないんだけど、なんだかガルパンの聖グロリアーナ女子学院のメンバーみたいだ)日本のブラックビジネスの中でも本丸といっていい構造であり、ここに切り込むのはかなりの労力を必要とするでしょう。天下の朝日新聞といえども、容易に扱える問題ではありません。そもそも新聞社と販売店の関係もこれとほぼ同じですしね。


それにしても、本部社員が店で狼藉をはたらく、ってのはイヤな話です。お客の前で店長をなじるとか、もしオレが居合わせてたらコレを我慢できる自信はねえです。

買いモノをするときはね
誰にも邪魔されず
自由で なんというか
救われてなきゃあ
ダメなんだ


独りで静かで
豊かで……


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