騙されてたまるか

清水潔の『騙されてたまるか』を購入。

騙されてたまるか 調査報道の裏側 (新潮新書)

騙されてたまるか 調査報道の裏側 (新潮新書)

桶川ストーカー殺人事件や、足利事件の報道で社会を大きく動かした、清水記者による新書です。


警察や官公庁、政府の発表をそのまま流す「発表報道」だけではなく、報道機関やジャーナリストがそれらの裏取りをする「調査報道」の重要さを訴える一冊。
桶川ストーカー殺人事件では、埼玉県警は被害者の女性を貶めるような発表を繰り返し、事件を矮小化することで、告訴状を改ざんしていたなどの不祥事を隠そうとしていましたが、それらは清水記者の調査報道がなければ表に出ることはなかったでしょう。足利事件でも、逮捕された容疑者を栃木県警は「ロリコン」と一方的に決めつけ(被害者は幼児だから容疑者はロリコンのはずだ、という転倒した因果関係で)、「大量のロリコンビデオを押収した」と発表しましたが、実際に押収されたアダルトビデオは巨乳ものばかりでした。それも、調査報道がなければ誰にも知られなかったでしょう。


また、記者クラブ制度の理不尽さについても厳しい筆致で書かれており、記者会見そのものを記者クラブが仕切って、クラブに加盟していない雑誌記者に対して集団で罵声を浴びせたりするというからおそろしい。現代のマスコミ報道がいかに堕落しているか、よくわかる一冊であります。必読。