プロジェクトZ

世界最初の推理小説といわれる、エドガー・アラン・ポーの「モルグ街の殺人」は、無数のフォロワーを生み出した密室トリックもさることながら、多民族社会であるパリという舞台設定を活かした、証言の食い違いによるトリックも非常に面白い、読みどころであります。

モルグ街の殺人・黄金虫―ポー短編集〈2〉ミステリ編 (新潮文庫)

モルグ街の殺人・黄金虫―ポー短編集〈2〉ミステリ編 (新潮文庫)


パリの一角にあるモルグ街で、二人暮らしの母娘が、扉も窓も施錠された部屋で惨殺される事件が発生。また、近隣住民が争う声を聞いていたが、あるフランス人は「スペイン語だった」と証言し、別のフランス人は「イタリア語だった」、オランダ人は「フランス語だった」、イギリス人は「ドイツ語だった」と証言する。この互いに矛盾した証言から、素人探偵オーギュスト・デュパンは、みな「母国語以外の言葉だった」と証言しているという共通点を見出し、意外な犯人像を導き出す……というストーリーは、みなさんご存じかと思います。


このように、人間は母国語以外の声を聞くと、脳が「○○語だな」と錯覚してしまうことがあります。「空耳アワー」もそれに似た作用から生まれたものですね。



それを踏まえて、こちらの曲をお聞きください。

  • "Mazinger Z" (English) - Isao Sasaki


これは、ささきいさおが1977年に発売した『マジンガーZ』英語企画盤より、オープニング主題歌のカバーであります。

CD-BOX Isao Sasaki Single Collection

CD-BOX Isao Sasaki Single Collection


恥ずかしながらオレはこの曲の存在をまったく知らなかったんですが、今日、ラジオで紹介されてたのを聞いて、衝撃を受けたんですよ。
歌詞は英語なのに、どう聞いても広東語にしか聞こえないんですよね。


たぶん、明朗かつ男性的な声質と、音節をきれいに区切った、妙にハキハキした発音が『プロジェクトA』の主題歌を連想させるからだと思うんですけど、広東語にくわしい人が聞いたら違う印象を受けるのかなぁ。



ちなみに、『マジンガーZ』主題歌を歌った本家の水木一郎にも、英語バージョンがあります。

たぶんこれ、アメリカ人が聞いたら日本語に聞こえるんじゃないかと思う。