匂わない花火

留守にしておりました。


昨日の土曜日は、仕事を終えてから山形市へ直行し、戸田書店山形店で開催された、「東北怪談同盟 夏の夜の怪談会」にて一席を披露。本格派の怪談家が集う中、ぼくの場合は、古典怪談の成立と伝播に関する都市伝説的考察、というマニアックなネタだったので、ウケは微妙でしたがまぁ自分としては満足いくお話ができました。

皿屋敷」の怪談はバリエーションが多く、伝承のある土地も50を超えています。みなさんの地元にも、皿屋敷があるかもよ!



んで、山形市内のホテルに一泊した本日は、黒木あるじさんに、数年ぶりのプロレス生観戦に連れていっていただいたのでした。

怪の放課後 実録怪談 (ハルキ・ホラー文庫)

怪の放課後 実録怪談 (ハルキ・ホラー文庫)



どこの団体かというと、ZERO-1です。実は昨夜、ホテルの近くのコンビニに行ったら、大谷晋二郎とすれ違ったんですよね。

今日は、「花笠大花火」と称して、メインエベントはFMW25周年記念の「ノーロープ有刺鉄線電流爆破&電流爆破ヘルメット頭壊デスマッチ」大仁田厚矢口壹琅保坂秀樹vs藤原喜明高山善廣NOSAWA論外という取組でした。


会場は、山形市の丘の上にあるリゾート施設(ホテルや温泉やゴルフ練習場なんかが集約されている)のスケート場で、そこにリングを組んでの試合となりました。
観客層は子ども連れが多く(地元企業の主催で、小学生以下は無料というチャリティ色の強い興行だったため)、ロケーションとあいまってゆるーい雰囲気をかもしだしていましたね。


ぼくは長年にわたってプロレスファンをやってきましたが、志向は非常に偏っており、生観戦していた団体は新日本プロレスとリングスぐらい(時期的にもほぼ90年代に限られている)でした。実はインディー系、とくにデスマッチ系はまったく観てこなかったんですよね。ことに大仁田は、興味ないというよりむしろ積極的に嫌いでしたし。なのでぼくは、雑誌記事でしかデスマッチの現場を知らないんです。今回が初体験となりました。


大仁田厚は、過去の人とばかり思っていましたが会場での人気は抜群で、かなり驚きました。昔からのファンがいるんだろうなぁ。
んで試合はといえば、電流爆破というギミックを中心として「誰が被爆するのか」に注目させるものになっています。

(黒木あるじ氏撮影)
大きいほうのやぐっちゃん被爆。この人、バークリー音楽大学を出ててギターもうまいんですよね。
会場に詰めかけた子どもたちは、爆破の音に驚いてドン引き。泣き出す幼児もいましたが、タチの悪そうな大人たちは大喜びです。


んで、ぼくが驚いたのが、火薬の匂いがまったくしないことです。
むせかえるような硝煙の匂いを想像していたんですが、無臭の火薬ってのもあるんですかね。これは意外でした。


今回の試合では、公認凶器として「電流爆破ヘルメット」が使用される特別ルールが採用されています。
これは、プラスチック製のふつうのヘルメットに、有刺鉄線と電源ケーブル、そして爆破装置がしかけられたもの。
これをゲットした選手が、コーナーに設置されたボタンを押すことでスイッチが入り、別のコーナーに設置されているパトランプが点灯するというギミックです。


最初は大仁田がこれをゲットしたのですが、藤原組長(もう65歳である!)がすぐに奪い取り、得意の一本足頭突きを連発。
大仁田が膝をついたところで、組長がヘルメットを装着し、高山がボタンを押して電流ON! よく見ると高山がボタンを押すより1秒ぐらい早くパトランプが点灯していたのですが、細かいことを気にする人はプロレス観戦には向いていません。


そして、藤原組長の有刺鉄線電流爆破ヘッドバットが、大仁田のボディに炸裂!

(黒木あるじ氏撮影)
大仁田はたまらずダウン! しかし電流爆破ヘルメットをかぶっていた藤原組長もダウン! 巻き添えを食った高山もダウン!
あー……、デスマッチってこういうアレなのね
いやー、大仁田がこの路線を開拓してから、20数年間まったく触れてこなかった文化だけど、なんとなく今日の試合でだいたいわかった気がしました。
やっぱりアレだなあ、オレはプロレスファンとしてはカテエほうの人間なんだなぁ。


最終的には、高山が矢口を被爆させて、グロッキーになった矢口にバックドロップを決めてフォール勝ちしたんですけど、別に勝ち負けをどうこう言うような試合じゃないよね。


試合後には、勝った高山チームが引き上げていき、残った大仁田が、敗者のくせにシメのマイクパフォーマンス。
例によって、ペットボトルの水を口に含んで吹き出したり、そのまま客席に降り掛けたりしながら「今日は負けたが、つらいことも苦しいことも、楽しいこともあるのが人生なんじゃ! ゴンッ(マイクを投げる音)」、またマイクを拾って「オレの人生にも、たったひとつだけ大事なものが残っているんじゃ! アンタたちも同じだろう! ゴンッ(マイクを投げる音)」、またマイクを拾って「出戻りのオレをこんなに暖かく迎えてくれて……ありがとう! ゴンッ(マイクを投げる音)」、またマイクを拾って「来年も、この山形に来てほしいか! オレは必ずまた来るぞ! ゴンッ(マイクを投げる音)」と、4回にわたってマイクを取るというサービスぶりです。しかも、大仁田は同じ発言をリングの四方に向かって4回リピートするので、計算すると16回しゃべったことになるんですね。正直、最後のほうになると「いつまでやるんだよ」と思いましたが、ファンは喜んでいたのでこれはこれでいいんでしょう。オレがとやかく言うことじゃないです、ウン。


暑い会場で汗をかいたので、帰りはリゾートの温泉に入って帰ろうかと思ったのですが、試合を終えた組長や高山や論外が次々に風呂に入りにきたので、いっしょに入るのはなんとなく気がひけて、温泉はやめて家に帰ったのでありました。


そういえば、今日は西武ドーム新日本プロレスのG-1決勝があったんだよなあ。そのせいか、けっこう豪華なメインだったのに、カメラマンは1人しか見かけませんでした。


あ、ちなみに大谷は相変わらず燃える男でしたよ、ウン。