本屋探偵の事件簿

もうね、この事件が面白すぎてですね。



気になる事件 : 亞書の謎 気になる事件 : 亞書の謎
事の発端は、Amazonで「亞書」なる謎の本が売られていたこと。(いまはもう削除されている)


著者はまったく無名の「アレクサンドル・ミャスコフスキー」なる人物で、1冊6万円という異様な値段。これが96巻まであって、しかもぜんぶ1点ずつしかない、というから実に不可解です。


気になったブログ主が調べていったところ、この本の中身はギリシャ文字やアルファベットをでたらめに打ちこんだものでまったく意味がなく、何のために作った本なのか、謎は深まるばかり。


読めない本というと「ヴォイニッチ手稿」とか、ジェイムス・ジョイスの『フィネガンズ・ウェイク』みたいなロマンを感じさせますね。

ヴォイニッチ写本の謎

ヴォイニッチ写本の謎

フィネガンズ・ウェイク 1 (河出文庫)

フィネガンズ・ウェイク 1 (河出文庫)



そして、「亞書」の謎がついに明らかになるのですが、そこにはあっと驚くたくらみが隠されていたのでありました。
なんとも人を食った話で、ちょっと『シャーロック・ホームズの冒険』あたりに入っていてもおかしくない味わいがあります。


その真相はこちらを参照。
1冊6万円謎の本、国会図書館に 「代償」136万円:朝日新聞デジタル 1冊6万円謎の本、国会図書館に 「代償」136万円:朝日新聞デジタル
近年は「図書館のせいで本が売れない」という話もあって(図書館のあり方が昔と変わってきた、という面もある)何かと話題になる「出版と図書館」でありますが、こういうやり方で社会のセキュリティホールをつくというか、意表を突いて人を手玉に取るような人物は、オレ的にはけっこう興味を惹かれる存在なのであります。本にまつわるミステリはけっこうありますが、このネタはかなり上位の面白さだったなぁ。