あまい囁き

一日のほとんどを、男どうしの殴り合いや、人殺しの凶器や、人喰いの化け物や、血のしたたるステーキのことばかり考えて過ごしている。もう中年だというのに、このままではいかん。あまりにも進歩がない。というかそもそもこのブログのタイトルからして野郎臭さを漂わせすぎだ。


というわけで、バランスを取るためにこの漫画を購入したのである。

あまい囁き

あまい囁き

二宮ひかるの最新作『あまい囁き』。白泉社の「楽園」に連載された作品をまとめた単行本である。


主人公の女子高生、亜希子(通称あっちゃん)と、かつて母の愛人だった「先生」との恋愛を描いた、相当にインモラルながら爽やかな読み心地を持ったお話。はじめはシャイな草食系男子だった「先生」が、話が進むにつれてふてぶてしいキャラに変貌していくのもいい味を出している。10年も前に死んでいる母が、この物語に登場する人物全員をいまだ支配しているという構図も面白いし、ストーリーの落としどころも納得のいく出来上がり。亜希子も「先生」もちゃんと現代の人間なのに、お母さんだけ谷崎潤一郎の小説に出てきそうなキャラなのはまぁご愛嬌である。


圧巻は、母と父のなれ初めを描いたエピソード「白」。
大学生で、家業の手伝いもしていた義明は、取引先の娘、敦子を「許婚」として紹介される。だが彼女はまだ幼い(小学校低学年ぐらい)子どもだった。
義明の父と敦子の母は不倫の関係にあり、結ばれない2人の代わりに子ども同士が結婚することを期待されているのだが、異母兄妹の可能性もあるようだ。


それから数年後、義明の父は亡くなり、家業も事業を縮小しているところに、中学生ぐらいになった(年齢は明記されていないが、少なくとも16歳未満であることはわかっている)敦子がやってくる。
既に縁談は自然消滅していたが、一家離散に遭った彼女は「ほかに行くところがない」と家に置いてくれるよう頼み込む。
そしてその夜、彼女は裸になって義明の部屋に忍んでくるのである。



(アカン)


と言いたくなる話である。
こういうロリコン要素が出てくると、話のイーヴル具合が一気に増す効果があるので、モラルはともかくやっぱり表現規制には反対、という立場を明らかにしておきたい。


これで安心して、明日からはまた血のしたたるステーキについて考えることにする。