いのちを売ってさらし首

俳優の大滝秀治が亡くなりました。


http://mainichi.jp/select/news/20121005k0000e040199000c.html

訃報:大滝秀治さん87歳=俳優、舞台や映画で幅広く活躍

 重厚な主役から個性的な脇役まで、舞台や映画に幅広く活躍した俳優で文化功労者大滝秀治(おおたき・ひでじ)さんが2日午後3時17分、肺扁平(へんぺい)上皮がんのため東京都内の自宅で亡くなった。87歳。

 通夜・葬儀は近親者で営んだ。喪主は妻純子(じゅんこ)さん。「大滝秀治 お別れの会」は22日午後2時、東京都港区南青山の青山葬儀所

 東京都生まれ。中学卒業後、陸軍に入り、国外で終戦を迎えた。復員後、丸の内の連合国軍総司令部(GHQ)電話部勤務のかたわら、帝国劇場で演劇の魅力にはまり1948年、民衆芸術劇場(第1次民芸)付属養成所に入所。50年の滝沢修ら率いる劇団民芸創立に研究生として参加し、同年「風の吹く一幕」で初舞台を踏んだ。70年、東京裁判を描いた木下順二作品の舞台「審判」で注目され、以降、劇団の中心俳優となった。

 あくの強い人物造形の一方で、ひょうひょうとしたユーモラスをたたえた演技で存在感を発揮、幅広い役柄をこなした。民芸の舞台は、「巨匠」の老人役、「審判」の首席弁護人役(いずれも木下順二作品)、「坐漁荘の人びと」の西園寺公望役、「浅草物語」の鈴木市之進役(いずれも小幡欣治作品)など多数。

 その個性と存在感は、テレビドラマや映画、CMでも発揮された。ドラマ「うちのホンカン」(75年、主演)や「特捜最前線」、映画「不毛地帯」「あにいもうと」「お葬式」など代表作は多い。

 80歳を過ぎてからもほぼ毎年、「どろんどろん」「らくだ」など民芸の舞台の主演を務め、円熟の芸境を見せていた。「らくだ」の演技で文化庁芸術祭大賞など受賞多数。88年紫綬褒章、2011年文化功労者奈良岡朋子さんとともに劇団民芸代表。

 12年4月20日、種田山頭火役で主演予定だった6月の民芸舞台「うしろ姿のしぐれてゆくか」(宮本研作)を体調不良のため降板、病気療養中だった。11年の「帰還」(坂手洋二作)が最後の舞台となった。また、現在公開中の高倉健さん主演「あなたへ」(降旗康男監督)が映画では最後となった。【濱田元子】

大滝秀治といえば、ぼくの場合は『必殺仕置人』第一話「いのちを売ってさらし首」で演じた悪役「闇の御前」が印象深いです。

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当時まだ40代でしたが、貫録と腹黒さを満々と湛えたたたずまいが最高でした。


あと、市川崑監督の石坂浩二金田一耕助シリーズ『犬神家の一族』『悪魔の手毬唄』『獄門島』『女王蜂』『病院坂の首縊りの家』にもグランドスラム出演を果たしています。石坂浩二加藤武(毎回警部役で出てくるが、常に金田一とは初対面である)以外でシリーズ皆勤の俳優は、大滝秀治小林昭二草笛光子三木のり平の4人だけです。

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勢い余って、内田康夫原作の浅見光彦シリーズ『天河伝説殺人事件』にまで『犬神家の一族』同様の神主役で出演したり、30年ぶりのリメイク版『犬神家の一族』にも同じ役で登板したりもしていましたね。

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おまけに、野村芳太郎監督の渥美清金田一耕助版『八つ墓村』にも出ていました。

あの頃映画 松竹DVDコレクション 「八つ墓村」

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この当時から完全に「おじいちゃん」俳優でしたが、まだ50代で本当は若かったんですよね。



伊丹十三の『タンポポ』では、餅をのどに詰まらせるヨボヨボの老人役でしたが、当時まだ60歳だったと知ったときはびっくりしました。

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長年にわたり個性派として活躍してきた、日本映画に欠かせない人物でありました。謹んでご冥福をお祈りします。