英雄本色

男たちの挽歌 A BETTER TOMORROW 【小説版】

男たちの挽歌 A BETTER TOMORROW 【小説版】

リメイク版『男たちの挽歌』を観てきたッス。


http://www.banka2011.com/


オリジナルではチョウ・ユンファティ・ロンレスリー・チャンが演じていた主人公の三人を、今回のリメイク版では脱北者に変更してあります。兄弟が憎みあうという悲しみは、朝鮮半島の現代史に通じるものがあるのでしょうか。


基本的なストーリーは、オリジナルとほぼ同じ。ティ・ロンにあたる人物(チュ・ジンモ)はレイ・チーホンにあたる人物(チョ・ハンソン)に裏切られ、タイ(オリジナルでは台湾)で逮捕されます。チョウ・ユンファにあたる人物(ソン・スンホン)はその報復としてタイに殴りこみに行き、二丁拳銃を撃ちまくりますが脚を負傷します。ティ・ロンの弟レスリー・チャンにあたる人物(キム・ガンウ)は刑事になりますが、兄の存在がネックとなって捜査から外され、ますます兄を憎むようになります。この辺はまぁみんな知ってると思うので、くどくど説明するのはこのぐらいにしておきます。



主題歌は既報どおりケミストリーが歌っていますが、旧作の、それも『II』の主題歌”奔向未來日子”がBGMに使われるというオールドファン向けのサービスもありました。

  • 奔向未来日子/張国栄


オリジナルからの変更点

  • タクシー会社が出てこない
    • 出所したチュ・ジンモは運転代行の仕事を始めますが、前科者ばかりが働くタクシー会社は出てきません。ケネス・ツァンにあたる保護司は、兄弟の親代わりとなっているパク元警部がつとめます。
  • 弟の彼女が出てこない
    • オリジナルでは弟には可愛い彼女(エミリー・チュウ)がいて、兄弟の確執に心を痛めていたのですが、今回のリメイク版には出ません。よけいに悲惨な話になっています。
  • 拳銃を植木鉢に隠さない
    • ソン・スンホンが殴りこみに行く場面はオリジナルをかなり忠実に再現していますが、拳銃を廊下の植木鉢に隠していき、帰りにはそれを取って使うという有名な演出は今回はありませんでした。冷静に考えれば全く意味のない行動ではありますが、カッコよさという点では最重要ポイントだったんだけどなぁ。


※以下ネタバレ






























ユンファ兄貴が、劇中で「おれには兄弟がいない」とわざわざ明言するあたりでイヤな予感はしていたのですが、まさか三人とも死ぬとはなぁ。『II』は作らない、という制作側の決意表明だったんでしょうか。三人ともに双子の兄弟がいた、というのはさすがに無理がありすぎますからね。


英語タイトルも、ケミストリーの主題歌も”A Better Tomorrow”だったのに、よりよい明日を見ることができずに終わるというのはちょっと皮肉にすぎるというか。とにかく開いた口がふさがらないエンディングでありました。劇場では、女性客がすすり泣く声が聞こえましたが、ぼくはあまりにビックリしてしまってとても泣くどころではありませんでした。