萎縮の現場から

例の東京都青少年健全育成条例を受けて、ある漫画家が編集部からこんな通達を受けたとのこと。


この方は高藤jrという漫画家で、性描写もある少女漫画の描き手ですが、あの条例の文を読むと、実は男性向けエロよりこちらのジャンルを規制したい意図を強く感じるんですよね。通達を出してきたのは秋田書店の「プチプリンセス」編集部のようですが、都および警察官僚の意図を警戒してのことにせよ、いくらなんでも萎縮しすぎだと思うなぁ。
誰もあたしを好きにならない (デザートコミックス)

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公園やトイレでの性行為は、刑法第174条の公然わいせつ罪、教会や寺や神社での性行為は刑法第188条の礼拝所不敬罪にあたるということなんでしょうけど、そこまでこじつけることもないんじゃないでしょか。


うちのブログでも、ちょっと前にこんなネタを書きましたが。
こんなにあるぞ! 違法な性行為 - 男の魂に火をつけろ!
もしかしたらこの編集さん、これと同じことを本気で考えたんじゃねえのかな。


で、この漫画家のつぶやきを受けて、「堂々と成人向けで描けばいい」という意見も出ているようですが、今の日本で「成人向け」商品といった場合は事実上「男性向け」という意味を言外にはらんでいるんですよね。女性向けの成人指定、というコンセプトが出版にも販売にも確立していない以上、版元としては「成人向け」を避ける姿勢もやむを得ないのでしょうが、それにしても度が過ぎるというか。


ちなみに、Amazonでアダルト指定されている商品には、エロ漫画、官能小説、アダルトビデオ、コンドーム、コスプレ洋品、ランジェリー、ローション、バイブレーター、TENGAなど幅広いエログッズがありますが、エロとは関係ない、威力の高いエアーガンもアダルト商品に含まれています。

No15 Cz75 (10歳以上エアーHOPハンドガン)

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現在売られているエアーソフトガンには、10歳以上向けと18歳以上向けという二つのカテゴリーがあります。児童向けに低価格・軽量に設計されたものと、大人向けにしっかりした造りのものがあるわけですが、児童向け商品のほうが手動コッキング操作が軽いため、実戦でのサブウエポンとしてあえてこちらを選ぶサバゲーマーも少なくないようです。ま、いずれにせよ、事実上「男性向け」の商品であることは間違いないですね。


トイガンに関する規制が強まっていった歴史を見ると、こちらは漫画規制の比じゃないほど厳しいんですよね。単純所持の禁止なんてもう何十年も前に通った道だもんなぁ。

刑務所の前 第3集 (ビッグコミックススペシャル)

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