花と蛇の穴
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小向美奈子のストリップを観劇した人の感想を、ネットや雑誌記事などで見ると、「太い」という意見がわりと目につきます。
これは、小向がだらしなく太っているというわけではなく、ストリップダンサーに求められる体型と、グラビアアイドルやセクシー女優に求められる体型がそれだけ違うということなのでしょう。ロック座に出演している他の踊り子さんたちは、かなりスリムな人が多いのです。それに対して小向美奈子は、10代のころからグラビアアイドルとして活動していて、もともとふっくらとした可愛らしさを売りにしていた人ですしね。それが20代になると激ヤセして、ちょっと心配になったものですが、その後の逮捕で「ああやっぱり」と思わされたものでした。執行猶予で復帰してからは、再びふっくらとした体格になっていて、非常に俺得なので頑張ってもらいたいですね。
というわけで、仙台でも公開された『花と蛇3』を観てきたッス。
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石井隆監督の杉本彩版は、エロスよりもシュールさが際立っていた印象がありますが、今回のは実にスケールが小さい。基本的に一軒家の中だけで終わる話です。
金持ちの老人(睦五朗)の若妻だったチェロ奏者の小向が、野心家の金持ち(原田龍二の弟の本宮泰風)に見初められ、彼の陰謀によって睦五朗は会社を潰されて死に、遺された小向の運命は……という導入部ですが、睦五朗が死ぬところは新聞記事のカット2コマだけで済ませるというすごい省略ぶりです。どうやって会社を潰し、どのように死んだのかとかまったく出てきません。描くべき場面とどうでもいい背景との区別が明快だといいますか、その辺の割り切りぶりがステキです。
んで、会社が潰れたせいなのか使用人も誰もいない家で、老夫の棺桶と過ごす(これからお通夜、というタイミングだろうか)小向のもとに、柄の悪い男たちがやってきて彼女をさらって行き、喪服のままで吊るし&鞭打ちの責めを加えます。無言で。夫が遺した負債がどうしたとか、そういう事情はいっさい語らないので、これではただの誘拐です。ふつう拷問というのは、何か情報を吐かせることが目的なので、例えばこのシチュエーションなら「隠し財産はないのか」とか迫るのが常道ですが、何も言わずにただ鞭でしばくのみ。つうか誰なんだよこの男たちは。本宮の部下なのか。
と思ったら、そこに火野正平がやってきて「この債権は本宮泰風が買った」と言って、小向を連れていきます。じゃぁこいつらはホントに誰だったんだよ。何のための鞭打ちだったんだ。
連れて行かれた小向は、本宮の車に乗せられて「君の債権は僕が買った。今日から君は僕の正式な妻だ」と告げられます。民法の再婚禁止期間とか、いやそれ以前に結婚って売り買いするものじゃなかったんじゃないかという疑問が即座に沸きますが、まぁお前らがそれでいいんならいいんだろう、お前らん中ではな。
というわけで、本宮の家(山奥の洋館)に連れてこられた小向美奈子が、責め師の火野正平らによるM調教を受けるわけです。手伝うのが、本宮の部下の斎藤歩(『サマーウォーズ』で侘助の声を演じてた人)と、料理人の工藤俊作(『地球戦隊ファイブマン』で悪役だった人。探偵ではない)、そして教育係の水谷ケイにメイドの琴乃。
安っ。
Vシネで観るならまぁまぁのメンツですが、さすがに大スクリーンでは、ねえ。
ストリップ公演のときは、他の出演者と比べて太っていると思われた小向ですが、その教訓を生かしてか、共演女優もグラマーな巨乳どころを揃えてきています。
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そんでまぁ、縄師の火野正平が中心となってエロ責めをしていくわけですが、家は洋館だったはずなのに責めの場面だけなぜか和室&着物に変わります。縄による縛りは和風の文化だからそういう演出になるんでしょうけど、えらく和洋折衷の家だなぁとその間取りが気になるところです。何の家具もないリノリウム張りの地下室もあって、そこでは利尿剤責めが行われるのですが、あれはいったい何のための部屋なのか本気でわかりません。家を設計する段階で「ここプレイルームにしますんで」と発注したんでしょうか。つくづく物好きな本宮泰風です。
というわけで、調教は順調に進んでゆき(後半になると小向も楽しそうになり、食事の場面では血のしたたるステーキをすげえうまそうに食べる)、最終的には家の中にある異次元空間みたいな部屋(『宇宙刑事ギャバン』のマクー空間を想像していただきたい)で結婚式が執り行われます。花嫁衣裳を脱がされ、角隠しと赤いふんどしだけを身につけた小向美奈子が逆さ吊りになる画ヅラはものすごくシュールですが、まぁマクー空間ですから何が起こっても不思議ではない、ということで。
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ギャバンは名もない花を踏みつけられない男ですが、花のほうにもいろんな花があるものです。天使の顔して心で爪を研いでる悪いヤツもいるんですねぇ。
…とまぁ、クダを巻いてみましたけど別にそんなに力を入れてみるような映画ではありませんので、おっぱいの好きな人なら観て楽しめると思います。巨乳が三人も出てくるので得です(貧乳も一人出てくる)。谷ナオミ以来、縛りといえば豊満な女体がつきものですので、ふっくらとした小向美奈子はまさに適役でしょう。ただ、オレ、個人的に緊縛って趣味じゃないんですよね。
長々と書いてきて最後にそんなこと言われても、読んでくれた方も困ると思いますが、まぁ好みの問題なので勘弁していただきたいものだと。
あ、そういえば、睦五朗の遺体はどうなったんだろう。
棺桶の前で小向が拉致されてそれっきりでしたが、あのまま放置されてたら、ミイラにでもなってたんでしょうか。
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