黒いマスコミ王

ふらりと立ち寄った山奥の古本屋で、ボロボロになった『野望の王国』の単行本を20冊ばかり、1冊50円で買ってきました。



何冊か途中が抜けているので、征二郎が米軍を使って弟を殺すところとか、柿崎が赤寺にアナルを犯されるところとか、美味しい場面が読めないのは残念でしたが、それでもとにかく濃厚なので、10冊ほど続けて読んだらもうぐったり疲れてしまいました。いったい征五郎は何回「いよいよ征二郎兄さんを倒すときがきた!」と言えば気が済むんだ。


征二郎と柿崎がワイドショーの生放送で対決するあたりは、のちの『美味しんぼ』における金上との対決を思わせるものがあり、雁屋哲の作家性がよく出ていますね。

美味しんぼ (50) (ビッグコミックス)

美味しんぼ (50) (ビッグコミックス)

そう思って読むと、征五郎−征二郎−柿崎という対立の図式が、山岡−海原雄山−金上と重なって見えてきます。相棒の片岡は栗田、愛犬家の疋矢は京極はん、白川天星は後輩の飛沢というところでしょうか。すると、今後の『美味しんぼ』は、親子が和解し、「究極のメニュー」を自分の色に染めて乗っ取ろうとする飛沢との戦いに向かっていくんでしょうかね。