火制地帯

俺と彼女が魔王と勇者で生徒会長 (電撃文庫)

俺と彼女が魔王と勇者で生徒会長 (電撃文庫)

電撃文庫ライトノベル俺と彼女が魔王と勇者で生徒会長』(なげえ)が、盗作を指摘されて絶版&回収されたとのこと。


http://asciimw.jp/info/apology/20100608.php

電撃文庫俺と彼女が魔王と勇者で生徒会長』 についてのお詫びとお知らせ

電撃文庫編集部よりお詫びとお知らせ

平素は格別のご愛顧を賜り、心より御礼申し上げます。
さて、電撃文庫俺と彼女が魔王と勇者で生徒会長』 (2010年5月10日発売/哀川譲 著)におきまして、ファミ通文庫バカとテストと召喚獣』 (井上堅二先生 著)などと類似する箇所が見受けられると、読者の方々よりご指摘をいただきました。現在、調査を進めておりますが、複数箇所にわたり参考にしている事実が確認され、哀川譲氏もそれを認めております。編集部はこの事態を重く受け止め、当作品は出荷停止をし、絶版、回収の措置を取らせていただくことになりました。また、 「電撃文庫MAGAZINE Vol.14」 (2010年6月10日発売)で発表の短編小説の掲載は取りやめました。今後、このようなことがないよう深く反省し、編集部は再発防止に努めていく所存です。
井上堅二先生をはじめ作家の先生方、読者の皆様、ファミ通文庫編集部ほか関係者の皆様にご迷惑をおかけしたことを深くお詫び申し上げます。

2010年6月8日
電撃文庫編集部

お詫び

この度はこのような事態を招いてしまい、まことに申し訳ございませんでした。
プロ作家としての意識の低さ、認識の甘さを深く反省しております。井上堅二先生をはじめ先生方、ファミ通文庫編集部の皆様、関係者の皆様に多大なご迷惑をおかけしたことを心からお詫び申し上げます。
拙著を読んでくださった読者の皆様、続編を楽しみにしてくださった皆様には本当に申し訳なく思っております。まことに申し訳ございませんでした。


哀川譲

この『俺と彼女が魔王と勇者で生徒会長』(だからなげえって)も、元になったという『バカとテストと召喚獣』も読んだことないんで、どれだけ似てるのか、まとめサイトを見てみました。


http://blog.livedoor.jp/insidears/archives/52321601.html


わはははは。こりゃすげえ。「ネタがかぶった」とかじゃなくて文章そのものをパクってる。これはさすがにアウトだろ。


この哀川譲とかいう人はこれがデビュー作だそうですが、これからどうするのかなぁ。これで筆を折ってしまうのだとしたら残念なことです。『俺と彼女が魔王と勇者で生徒会長』(と入力するだけで12秒もかかったぞオイ)読んだことないけど。


ぼくが敬愛してやまない作家の一人に大藪春彦がいますが、かの大藪も、デビュー間もないころに盗作騒ぎを起こしたことがありました。

大藪春彦伝説―遙かなる野獣の挽歌(バラード)

大藪春彦伝説―遙かなる野獣の挽歌(バラード)

早稲田大学在学中に『野獣死すべし』で華々しくデビューを飾った大藪ですが、準備不足のまま流行作家になったためか、初期作品には海外のハードボイルドとの類似が見られました。


1960年に、第二長篇『街が眠るとき』が映画化されましたが、この作品がアメリカ作家の短篇と類似していると指摘を受け、さらに短篇『火制地帯』がロス・マクドナルドの『青いジャングル』と酷似していることが発覚。このスキャンダルによって、大藪は日本探偵作家クラブ(現在の日本推理作家協会)を除名され、以後は文壇と距離を置いた「孤高の作家」として活動していったのでした。


ほかにも、文壇に盗作騒動は付き物といってもよく、多くの騒動が歴史に残っています。

〈盗作〉の文学史

〈盗作〉の文学史


哀川譲は、プロフィールによると岩手県出身の22歳だそうですが、まだ若いのだからこの『俺と彼女が魔王と勇者で生徒会長』(今度は9秒で書けました)の失敗にめげずに頑張ってほしいですね。大藪春彦みたいになれるとは限りませんけど。


ちなみに、大藪春彦の盗作騒動を「週刊文春」が報じたとき、当時トップ屋だった梶山季之が書いた記事タイトルは「野獣恥ずべし」でした。