血まみれの野獣
- 作者: 山本弘
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2012/04/05
- メディア: 新書
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山本弘のSF秘密基地BLOG:なぜ小説は問題にされないのか?
少女誘拐事件で、容疑者が「プリキュア」ファンだったことは取沙汰されるのに、バスジャック事件の容疑者が山田悠介の小説を読んでいたことは問題にされない。その不公平と世間の偏見を、ユーモアを込めて書いています。オチには笑いました。
ところで、事件が起こったときに小説の影響が取沙汰されなくなったのってそんなに古い話じゃなくて、昔はけっこうバッシングがありました。
なぜ、バラバラ殺人事件は起きるのか?【殺人+死体損壊を生む心の闇を解き明かす】
- 作者: 作田明
- 出版社/メーカー: 辰巳出版
- 発売日: 2007/04/25
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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この事件は世間に大いにセンセーションを巻き起こし、新聞社が激しい報道合戦を繰り広げました。世論も煽られ、警察署に「バラバラ死体の首が見たい」と押しかけた人がいたり、発見現場には野次馬向けの屋台が出たりもしています。
そんな中、警察署に「犯人は江戸川乱歩に違いない」と訴え出る人までいたそうです。
陰獣 江戸川乱歩ベストセレクション (4) (角川ホラー文庫)
- 作者: 江戸川乱歩,田島昭宇
- 出版社/メーカー: KADOKAWA/角川書店
- 発売日: 2008/11/22
- メディア: 文庫
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時代が下って戦後になると、探偵小説にも新たな潮流が生まれます。
- 作者: 大薮春彦
- 出版社/メーカー: 光文社
- 発売日: 1997/01/01
- メディア: 文庫
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ちなみに、盗作騒動について当時の「週刊文春」が大きく取り上げたのですが、その記事を書いたのが、トップ屋時代の梶山季之です。
- 作者: 梶山季之
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 2007/09/14
- メディア: 文庫
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大藪春彦は、デビュー作『野獣死すべし』から、『蘇える金狼』『ウインチェスターM70』『唇に微笑 心に拳銃』などなど、多くの作品で「銀行強盗」「現金輸送車襲撃」をモチーフにしています。
1968年に府中市で3億円事件が発生しますが、このときは『血まみれの野獣』という作品との酷似が指摘されました。
- 作者: 大薮春彦
- 出版社/メーカー: 光文社
- 発売日: 2001/06
- メディア: 文庫
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あまりに手口が似ているため、大藪春彦は警察から参考人招致を受け、マスコミからは「強盗の教科書」と批判を受けました。
とはいうものの、大藪作品で現金輸送車襲撃は頻出するモチーフなので、特定の作品を挙げて批判しても仕方ないんですけどね。
1979年には、大阪市の三菱銀行(現・三菱東京UFJ銀行)北畠支店に、梅川昭美という男が猟銃を持って押し入り、行員や客を人質にして立てこもり、警官と行員4人を射殺する事件が発生しました。
- 作者: 読売新聞大阪社会部
- 出版社/メーカー: 新風舎
- 発売日: 2004/11
- メディア: 文庫
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- 出版社/メーカー: ジェネオン エンタテインメント
- 発売日: 2004/03/21
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- 出版社/メーカー: 角川書店
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どうやら、70年代以降は小説がすっかり市民権を得て、影響を受けた犯罪があってもバッシングされなくなったと考えられますね。
アニメや漫画、ゲームは小説より歴史が浅いせいか、未だに小説ほどの市民権を得ていないのが現状のようです。