エイプリルフール中止のお知らせ

4月1日となると、あちこちのサイトやブログでエイプリルフールネタが展開されています。


http://www.itmedia.co.jp/news/articles/1004/01/news028.html


どこも面白いですね。


異彩を放つのが産経新聞で、「鳩山首相が退陣表明」と、ユーモアのかけらもない、ただの願望を書いています。「官邸の公用語は姑息な宇宙語なのだろう」と皮肉ってますが、ウルトラマンたちはちゃんと日本語でつぶやいています。


http://tsubutter.m-78.jp/


個人ブログでも、あちこちでウソんこネタをやっている人が見られますが、ぼくのような、日常的に口からでまかせを言っている人間が、今さら「イスラム教に改宗したので今日からはモハメド・ワッシュと名乗ります」とか「このブログは五人の老若男女が交代で書いていて、あのワッシュと名乗るハゲた男は何も書いていないスポークスマンだ」とか「実は二年前から付き合っている彼女がいて、今年中にも結婚しようと思っている」とかウソを言ってもはじまらないし、かといってまじめなことを書いても、日にちが日にちだけにネタとして受け取られそうでこれも気が進まない。もし今日、「今月の小説家講座の講師はデルモンテ平山」とか告知しても「ウソだあ」と思われるでしょうしね。


もうねー、それどころじゃないんですよ。


ぼくの知人(前の職場の先輩)に、心の病気で療養中の人がいましてね。


どうでもいいような内容で(たぶん、そういう気軽なコミュニケーションを取ることが必要なんだと思う)携帯メールをよく送ってくれるんですけど、毎週木曜日には「今週の『バキ』どうなった?」と聞かれるんですよ。


先輩の「バキどうなった」メールが始まったのはたしか2年ちょっと前で、「もう3年ぐらい読んでないんだけど、今『バキ』どうなってんの」とメールが来たんですよ。



ちょうど、死刑囚篇からサムワン海王篇、アライJr編、妄想カマキリ篇を経てピクル篇に入った頃だったので、そのブランクをどうやって埋めればいいか、ほとほと途方に暮れたものでした。

範馬刃牙 1 (少年チャンピオン・コミックス)

範馬刃牙 1 (少年チャンピオン・コミックス)


まぁなんとか、「岩塩の層から甦った原始人をめぐって格闘士たちがわらわらしている」という説明で強引にわかってもらい、ピクル篇が終わっていよいよ刃牙が勇次郎との戦いに向かう雰囲気になってきたら烈海王がボクシングを始めたりして、相変わらず油断はできねえなと思っていたところ、そんなところにですよ。


刃牙が「親父と飯が喰いたい」と言い出し、狼狽したキャプテンストライダムが「範馬刃牙範馬勇次郎が向かい合って食事をする、その不自然さを想像してみろ!」と言うや二人がちゃぶ台を挟んで仲良く飯を喰う絵が1ページ丸まる描かれ、それを気にする様子もなく刃牙が「オレばっかり飯炊き当番ってのも…たまには親父の炊いた飯もいいかな」とほざき、それをストライダムから伝え聞いた勇次郎が「飯を炊く…か…」とまんざらでもないようなことをつぶやく。


そんな話を、病人に向かってどう伝えればいいんですか!


いい加減にしてくださいよ板垣さん。「読者の予想は裏切り、期待は裏切らない」がモットーだそうですが、いくらなんでも限度ってモンがあるでしょう。


漫画界におけるエディプス・コンプレックスの権化として、『美味しんぼ』の山岡士郎と並び称されてきた刃牙ではありますが、まさか本当に『美味しんぼ』になってしまうんでしょうか。勇次郎が「最強の飯を喰わせてやるッッッ」と山盛りドンブリ飯を出し、独歩が「なんちゅうものを喰わせてくれるんだい」と泣き、梢江が「シャッキリポンとしているッッッ」と叫ぶ。烈海王大人が「日本人も悪いのだッッッ」と言い放ち、徳川のジッちゃんは唐山陶人、ストライダムは中川。当てはめていくとちゃんとキャスティングができてしまうところが、今の『範馬刃牙』の怖さです。

THE美味しん本 海原雄山至高の極意編

THE美味しん本 海原雄山至高の極意編