格闘技オリンピック

千葉県でこんなニュースがあったそうな。


http://sankei.jp.msn.com/affairs/crime/091118/crm0911181919030-n1.htm

悪ふざけあおって生徒殴る 千葉県教委、公立中教諭を戒告

 生徒の悪ふざけをあおるようなことを言った上、抗議した生徒を殴りけがをさせたとして、千葉県教育委員会は18日、同県市原市の公立中学の男性教諭(50)を戒告処分にした。

 県教委によると、教諭は10月30日午後4時ごろ、中学の体育館で2年の男子生徒が同じクラスの男子生徒の脚を抱えて振り回していたとき、「もっと回せば浮き上がって背中が汚れない」などと言った。その後、体を回された生徒から「おまえがやらせた」などと言われたことに腹を立て、生徒の顔などを数回殴り、軽傷を負わせた。

 当時、体育館では合唱祭の模様を映したビデオ観賞会の準備中。生徒ら70〜80人が残っていた。

 教諭は「かっとなってやってしまった。思慮が浅かった。反省している」と話しているという。

「脚を抱えて振り回していた」というのはジャイアント・スイングのことですね。かけ方のアドバイスとしては正しいですが、そこでかけ方を指導すること自体が教育者としていかがなものかといいますか。まぁ元教師で現国会議員の馳浩が得意としていた技ですからね、ジャイアント・スイングは。


いっぽう、さいたま地裁では、ゲームソフトを万引きして見つかり、店長を投げ飛ばして頭の骨を折る怪我を負わせた男の裁判があったのですが、こんな一幕も。


http://sankei.jp.msn.com/region/kanto/saitama/091118/stm0911181849016-n1.htm

【法廷から】柔道技は故意かに裁判員関心 質問遮られる場面も

 強盗致傷の罪に問われた守屋豊和被告(21)の被告人質問は17、18両日にわたって行われた。高校時代に柔道部に所属し初段を取った被告が、どのように被害者の男性経営者を投げたかなどについて裁判員が積極的に質問。若園敦雄裁判長が裁判員の質問を遮る場面もあった。

 証言台に立つ守屋被告は丸刈りに太いまゆで、現役の柔道部員といわれても納得するような風貌(ふうぼう)だった。

 17日の被告人質問で、検察側は守屋被告に犯行の状況を尋ねた。

 検察官「万引が見つかって、男性経営者に捕まってどうしたのか」

 被告「手をほどこうとして、もつれ合った結果、投げたという形になってしまった」

 検察官「どんな技で」

 被告「後から話を聞いて一本背負いで投げてしまったと分かった」

 一方、弁護側は冒頭陳述で、「被告の投げが不完全だったので、被害者は顔を打ち頭蓋骨(ずがいこつ)を骨折した」と述べ、投げたのは故意ではなかったことを強調。被告人質問でも、この点をただした。

記事を書いた人はよっぽどのガチムチ好きなのか、やたらと柔道にこだわってますね。


弁護側は、怪我をさせたことを強調することで「故意ではない」と主張しています。これ、意味のわからない人もいると思いますが、実は、柔道の投げ技というのは、強い人ほど痛くないんです。


技術のしっかりしている人が投げると、投げられる相手の体勢も変に崩れることがなく、きれいに受け身をとることができるので痛くありません。逆にヘタな人が投げると、変なところから落ちるので、痛いしケガもしやすいんですね。


背負い投げという技は、初心者はまず「頭から落とさない」ことを第一に教えられるものなので、頭蓋骨骨折というのは、少しでも練習をしたことのある人ならまずありえない失敗です。なので、弁護側は「技をかけようという意思そのものがなかった」と主張しているんですね。そうでなければ、殺意があったということになる。

小林まことの『1,2の三四郎2』でも、プロ柔道の金田麻男(通称キンタマ男)が、プロレスラーとの異種格闘技戦で頭から落とす背負い投げを使い、一撃で失神KOに葬るという場面がありました。「頭から落とさない」という無意識レベルのリミッターを外すことで、ごくふつうの背負い投げも恐怖の殺人技になるんですね。柔道やった人なら実は誰でもできるけど、やろうとする人はまぁ誰もいないでしょうね。


んで、法廷の様子を伝えるニュースはこうシメられています。


http://sankei.jp.msn.com/region/kanto/saitama/091118/stm0911181849016-n2.htm

最終陳述で守屋被告は「今後は罪を背負って生きていくとともに、大人として恥ずかしくない人生を送りたい」と述べた。

誰がうまいこと言えと。