ネバーランドの子どもたち

さて。


交響詩篇エウレカセブン ポケットが虹でいっぱい』を観てきたんですけどね。

ヱヴァンゲリヲン』が旧作のおおまかなストーリーをなぞりながら再構築して発展させていたのに対し、こちらはテレビ版からキャラクターのおおまかな設定やデザイン、性格を流用しながらまったく別の世界観、まったく別のストーリーに書き換えられていました。要はパラレルワールド(便利な言葉だ)ってことです。


反政府ゲリラだったゲッコーステイトは脱走兵の「独立愚連隊」に、世界を救った英雄の息子だったレントンはカルト集団に育てられた少年兵に、冷徹な兵士という面も持っていたエウレカは二時間ずっとおろおろしてばかりの泣き虫少女に、エリート少年たちを手足のごとく使役していたデューイは単なるペドの変態野郎に生まれ変わっていました。
あと、チャールズとレイはレントンの本当の両親に昇格し、ドミニクとアネモネはテレビ版でいうノルブとサクヤに近い役どころに移っています。


ゲッコーステイトのメンバーたちは、デューイに囲われていた子どもたちがヘンテコな実験によって通常の三倍の速度で急成長した、という設定で、ホランドもタルホもマシューもハップも、薬で成長・老化を抑えているもののみんな実は17歳ということになっています。でもケンゴウまで同い年というのはあまりにムリがあるし、ギジェットやムーンドギーはむしろ年上になっていますけどね。


んで、デューイに囲われていた子どもたちは、軍ではネバーランドの子どもたち」と呼ばれているのでした。


この映画、仙台では東京から2ヶ月おくれて公開されたのですが、結果としてエラいタイムリーなネタになっていましたね。

スリラー(紙ジャケット仕様)

スリラー(紙ジャケット仕様)


この他にも、ホランドたちが死にかけた実験のことが「ドーハの悲劇」と呼ばれていたりして、なんだか引用が安易な印象を受けてしまいました。


うーん、なんていいますかね。


最近のアニメでもそういうのがあるかどうかよう知りませんけど、昔のアニメってほら、学園もので「特別編」とかいって一週だけ怪獣ものやったりとか、SFものが一週だけ時代劇になったりとか、そういうのあったじゃないですか。なんかそんな感じがするんですよね。


テレビ版と同じキャストで、もとのキャラクターの性格を生かしながら別の物語をやるというのは面白いことは面白いんですが、どうもこちらの物語世界に入り込みづらいというか、「新春スターかくし芸大会」のドラマかなんか見てるような気分がどうしても否めないのでした。


あと、アニメ映画でこういうのは珍しいと思うんですが、セリフが聞き取りづらい。
勝新じゃないんだから、効果音と会話はもう少し分けてくださいよ。


とまぁ、悪いところばっかり書いてしまいましたけど、エウレカはテレビ版より4割増ぐらいで可愛くなってましたし、ニルヴァーシュとジエンドが妖精になったのも可愛かったし、原作のテイストを生かしつつ新しい物語を語ることには成功していたと思います。でもこちらは『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破』という十年に一本クラスの傑作を観てしまった直後なもんで、どうしても、テイストの似たアニメに点が辛くなるのは止むを得ないといいますか。