わ、ガンでねべが

裁判員制度の導入に際し、取調べの録音・録画などの可視化が求められていますが、青森県警ではこんな問題が浮上しています。


http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20090326-OYT1T00677.htm

「じぇんこ出せ」にリアリティー…供述調書は津軽弁のままで

 警察の取り調べが妥当だったかを裁判員裁判で証明するために4月から導入される取り調べの一部録画を巡り、取調室で“難解”な津軽弁が飛び交う青森県警は、容疑者らの言い回しを再現する際は供述調書にそのまま記載して読み上げる方針を決めた。

 真意を正確に伝える狙いだが、一方で津軽弁では転勤族の裁判員らが理解できないことも予想され、取調官が標準語での言い換えを補足して記載、録画時にも読み上げる。

 取り調べの一部録画は、5月に始まる裁判員制度を見据え、容疑者の供述が取調官による強要でないことを示す目的で導入され、4月には全国の警察で試験運用が始まる。録画するのは、供述をもとに作成した供述調書を取調官が読み上げ、誤りがなければ容疑者が調書に押印する場面。画像は、裁判員裁判で流される。

 青森県警ではこれまで、津軽弁の言い換えなどは取調官に任せていた。しかし、録画の導入を前に調書に津軽弁をどう反映させるかが議論になった。例えば、「じぇんこ出せ」(金を出せ)、「うんでもいでまるど」(腕をもいでしまうぞ)などは県外出身の裁判員が理解できない可能性がある。

 一方で、真意を変えずに標準語に言い換えるのも至難の業。傷害事件の容疑者が、「わ、頭さきて、石で殴ってまったじゃあ」と供述したのを、「私は頭にきて、石で殴ってしまったのです」とすると、「リアリティーに欠ける」(県警幹部)と悩ましい。

 このため、供述調書には津軽弁をそのまま記載するが、供述を取る段階で取調官が意味が通じないと判断した場合には、容疑者に改めて「どういう意味か」と問い直し、標準語で補足する。

これ、笑いごとじゃなくてきわめて重要なことなんですけどね。とかく供述調書といえば、警察が書いた作文を誘導や威圧によって容疑者にそのまま押し付けるというのが批判されていましたが、それを容疑者の言葉そのままにしようということですから。

誰でもできる供述調書の作り方―刑法犯 (1971年)

誰でもできる供述調書の作り方―刑法犯 (1971年)

(↑「誰でもできる」ってそんな…)



それにしても「じぇんこ出せ」「うんでもいでまるど」というのはなんか呪文みたいで迫力ありますね。阿部和重の小説のセリフみたい。

シンセミア〈1〉 (朝日文庫)

シンセミア〈1〉 (朝日文庫)

こっちは山形弁だからまだなんとかわかりますが、津軽弁となるともう、南東北人には理解が困難です。ぼくの知人で、青森県出身の人が何人かいますけど、彼らが話してるのを聞いてもなんだかさっぱりわかりませんでね。関東以西の人からみれば仙台も青森も似たようなものかもしれませんが、けっこう地方によって違うんだでば(この程度は東北のどこでも使う)。


青森県南部から岩手県北部、秋田県の一部にかけて「ナニャドヤラ」という盆踊りがあります。

ナニャド ナサレテ ナニャドヤラ

ナニャドヤレ ナサレデ ノーオ ナニャドヤレ

ナニャドヤラヨー ナニャド ナサレテ サーエ ナニャド ヤラヨー

ナニャド ナサレテ ナニャドヤラ ナニャド

という、まったく意味のわからないお囃子を歌いながら踊るというもので、語源に関してはいくつかの説がありますが、これをヘブライ語からきたものとする珍説が1950年代に話題になり、竹内巨麿により青森県で発見された「キリストの墓」では、現代でも夏になると十字架の周りで盆踊りをするという珍妙なお祭りが行われています。

  • 第45回キリスト祭・ナニャドヤラ


これはすごいなぁ。ヴァチカンが知ったらイスカリオテ機関を派遣してきそうだ。

HELLSING 10 (ヤングキングコミックス)

HELLSING 10 (ヤングキングコミックス)


青森県出身のバンド、人間椅子は”ナニャドヤラ”をスラッシュメタルにアレンジして演奏しています。

黄金の夜明け

黄金の夜明け


津軽弁をフィーチュアした曲としては、”わ、ガンでねべが”がありますね。

  • わ、ガンでねべが

D
すげえ、全然わかんねえ。



あと、「金を出せ」を津軽では「じぇんこ出せ」というそうですが、『一騎当千』や『ゼロの使い魔』のアニメを製作している会社は「ジェンコ」というところなんですがそれは関係あるんでしょうか。


http://www.genco.co.jp/

一騎当千Great Guardians 第六巻 [DVD]

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