ウルトラ警備隊西へ

われらが石原慎太郎閣下が、こんな発言をして批判されています。


http://www.jiji.com/jc/c?g=pol_30&k=2009032700796

「間近に落ちた方が国民に緊張感」=北朝鮮ミサイルで−石原都知事

 東京都の石原慎太郎知事は27日の定例記者会見で、北朝鮮弾道ミサイルの発射準備をしていることに関連し、「こんなことを言うと怒られるかもしれないが、変なものが(日本の)間近に落ちるなんてことがあった方が、日本人は危機感というか、緊張感を持つんじゃないかな」と述べた。
 その上で、「(日本人は)まあ大丈夫だ、まあ大丈夫だ(という意識)で来たわけだから」と話した。外国からの攻撃などに対する国民の危機意識の薄さを指摘したとみられるが、批判も出そうだ。

「批判も出そうだ」って、そりゃ出るでしょ。
国民に緊張感とか、持たせないようにするのが政治家の仕事なんじゃないの?


それにしても、この北朝鮮ミサイル問題では、迎撃とかパトリオットとか破壊措置命令とか、なんだかワクワクするような単語が聞かれますね。

http://www.asahi.com/politics/update/0327/TKY200903270033.html

弾道ミサイル破壊措置命令」を発令 北朝鮮発射準備で

 北朝鮮が長距離弾道ミサイルテポドン2」とみられる機体の発射準備を進めていることを受け、政府は27日、安全保障会議(議長・麻生首相)を開き、ミサイルが日本の領土・領海に落下する場合に備え、自衛隊法に基づく「弾道ミサイル破壊措置命令」を初めて発令することを決めた。これを受け、浜田防衛相は自衛隊に対し、破壊措置命令を発令した。

 発令は4月10日まで。北朝鮮は4月4〜8日の午前11時〜午後4時の間に、「人工衛星を運搬するロケット」の発射を予告している。

 河村官房長官は安保会議後の記者会見で「通常は領域内に落下することはない」との見方を示したうえで、「国民には通常の生活を送っていただきたい。万万が一に備え警戒態勢をとる」と述べた。

 破壊措置命令には(1)「日本に飛来する恐れがある」時に閣議決定を経て防衛相が命じる(自衛隊法82条の2第1項)(2)「日本に飛来する恐れがあるとは認められない」が、事態の急変に備え、あらかじめ防衛相の判断で原則非公表で命じる(同第3項)――の2種類がある。

 政府は今回、飛来する恐れは認められないが、「事故が発生したら落下する場合がある」(河村氏)と判断し、3項を選択。河村氏は非公表としてきた3項による破壊命令を公表した理由について(1)北朝鮮の事前通知があった(2)国民の不安を和らげるためできるだけ説明する必要があった――の2点を挙げた。

 迎撃や情報収集に備え、政府はイージス艦「ちょうかい」「こんごう」の2隻を日本海に、イージス艦「きりしま」を太平洋に配備する。日本海に配備される2隻は、迎撃用の海上配備型迎撃ミサイル(SM3)を搭載済み。

 迎撃用の地対空誘導弾パトリオット3(PAC3)は首都圏とミサイルが上空を通過するとみられる東北地方の計5カ所(陸上自衛隊の秋田、岩手、朝霞各駐屯地、航空自衛隊習志野分屯基地市ケ谷基地)に配備する。

 政府はミサイル発射を確認した場合、地方自治体と報道機関に対し、発射後5〜10分程度での公表をめざす。発射の30分〜1時間後には落下したとみられる場所も公表するとした。政府は27日、首相官邸の危機管理センターに設置した情報連絡室を官邸連絡室に格上げした。


「ミサイル破壊措置命令」なんて、特撮ファンならその響きだけでどんぶりメシ三杯はイケますよ!


今回のミサイルは、人工衛星の打ち上げという名目になっていますが、そこから軍事的な緊張が高まるという展開は『ウルトラセブン』第14話〜第15話の前後編エピソード「ウルトラ警備隊西へ」を思わせるものがありますね。

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このエピソードでは、地球防衛軍が打ち上げた観測用ロケットを侵略目的と決め付けたペダン星人が、セブンをも寄せ付けない無敵の戦闘ロボット・キングジョーを神戸に送り込んできます。
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そして、誘拐したドロシー博士の姿に化けたペダン星人(浜崎あゆみ似の金髪美女)とモロボシ・ダンの交渉では、ダンが完全に論破されてしまうんですね。

  • ダン:われわれ地球防衛軍の本当の目的は、宇宙全体の平和なのだ!
  • ドロシー:そう考えているのはそう考えているのはウルトラセブン、あなただけよ
  • ダン:なに…?
  • ドロシー:人間は、ずるくて、よくばりで、とんだ食わせ者だわ。その証拠に、防衛センターでは、ペダン星人を攻撃するために…ひそかに武器を作っている
  • ダン:それは、おまえたちが地球の平和を乱すからだ
  • ドロシー:それは、こっちのいうことよ!
  • ダン:うっ…
  • ドロシー:他人の家をのぞいたり、石を投げたりするのは、ルールに反することだわ!
  • ダン:なるほど、地球人も確かに悪かった。こうしよう、僕は今度の事件を平和に解決したい。ウルトラ警備隊はペダン星人と戦うための武器の研究を中止する。その代わりペダン星人も地球から退却して欲しい…」
  • ドロシー:宇宙人同士の約束ね

この辺のやりとりは、単に悪い宇宙人をやっつけてめでたしめでたしでは終わらない、脚本を書いた金城哲夫コスモポリタン的な思想が出ているものと思われますが、この直後にペダン星人が裏切り、けっきょく単に悪い宇宙人をやっつける話になってしまったのは、当時の子ども番組としての限界だったのかもしれません。


ちなみに、続く第16話「闇に光る目」では、観測用に打ち上げられたロケットを侵略目的と思い込んだアンノン星人が地球に攻めてくる、という前回とまったく同じ話が繰り広げられるのでした。地球防衛軍の上層部には、コンプライアンスとかそういう概念はなかったようです。


こちらのエピソードでは、岩石宇宙人アンノンは、キリヤマ隊長に対しては「地球人の言うことは信用できない」、しかしセブンには「セブンの言うことは信用しよう」と言って立ち去る、という地球人差別が描かれるのですが、キリヤマ隊長は人工衛星ペガッサシティを破壊して数億人のペガッサ星人を虐殺したり、ザンパ星人を全滅させたり、海底人ノンマルトを滅ぼしたり、というジェノサイドの常習犯なので、信用してもらえないのもむべなるかなというか。


※参考:ˆ«–𖼕ëƒLƒŠƒ„ƒ}‘à’·