郵便配達は二度ベルを鳴らす
元厚生省事務次官の自宅が相次いで襲われた事件で、思いもよらない影響が出ているようです。
http://www.asahi.com/national/update/1120/TKY200811200182.html
宅配便業者「ドア開けてもらえない」 元次官宅襲撃影響
元厚生事務次官宅が相次いで襲われた二つの事件後、宅配業者の配達業務に影響が出始めている。ともに犯人が宅配便を装う手口で犯行に及んだ可能性があることから、受取人に警戒されてドアを開けてもらえなかったり、配達人と信じてもらうのに手間取ったりしている。
ある宅配大手の東京都内の営業店の男性配達員(26)は「事件後、初めて訪ねた個人宅でなかなかドアを開けてもらえなかった」と話す。別の配達員(58)も「カメラ付きのインターホン越しに『差出人は誰? 社員証を見せて。それ、本物ですか?』と不審がられた。通常は荷物の受け渡しに1分もかからなかったのに、身分確認のやりとりだけで数分かかった」という。
別の宅配業者の配達員(39)は「オートロック式マンションに住む受取人から『管理人に預けておいて』と言われたのが、昨日だけで5件あった。宅配便を装うような手口を使うのは許せない」と憤った。
佐川急便は19日、本社から各営業店に対し、(1)玄関先で「佐川急便です」とはっきり名乗ること(2)制服をきちんと着用すること(3)求められたら社員証を提示すること、を徹底するよう指示したという。業界最大手ヤマト運輸の都内営業所の総務担当者は「お歳暮シーズンで荷物が増える時期だけに業務への悪影響は大きい」と話す。
このように、家庭を訪問する業者を装って上がり込むという犯罪の手口は古くからよくみられるもので、「ボストン絞殺魔」アルバート・ディザルボは水道管修理業者を装って女性の部屋に侵入しており、山口県光市の母子殺害事件でも同様の手口が使われました。
制服というのは、人間の警戒心を緩ませるはたらきがあるんですね。
このため、コミックマーケットでのコスプレには制限があり、警察官や自衛官の制服、警備員などの扮装は禁止されています。
今年の冬コミでは、宅配便業者のコスプレが禁止されるのかもしれませんね。
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んで。
宅配便業者の制服を着て侵入した、という一報を聞いて、ぼくはある古典ミステリを即座に連想したんですが、同じこと考えた人はたぶんいっぱいいると思いますね。
※以下ネタバレ
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G・K・チェスタトンの『ブラウン神父の童心』に収録されている「見えない男」という短編では、厳重に警戒された部屋で殺人が行われ、監視していた警官は誰も怪しい人物が出入りするのを見なかった、という謎が提示されます。
ブラウン神父の推理により、実は犯人は郵便配達人だったという真相が暴かれるのですが、この話がなんかヘンにリアリティを感じさせるようになってきたなぁ。
この分だと、「折れた剣」のあの有名なトリック、「木は森の中に隠せ」というのもそのうちホントになるかもね。