魔術の恋

WBA世界フライ級1位(笑)亀田興毅選手と、弟でアマチュア歌手の大毅さんが、有明コロシアムでライヴをやるそうです。

http://news.www.infoseek.co.jp/hochi/sports/battle/story/20070724hochi091/


今度のライヴでは、客席を1000席削ってまで、大規模な入場パフォーマンスをやるとのこと。

絶体絶命や!? プロボクシングの亀田兄弟(協栄)がそろって世界前哨戦を行う「亀田の夏祭り」(28日・有明コロシアム)の緊急会見が23日、都内で行われ、メーンを張る長男・興毅(20)が「一歩間違えたら死ぬでぇ」という命がけの入場パフォーマンスを発表した。内容は試合当日まで極秘だが、前代未聞の1億円の生命保険を掛けて決行。浪速の闘拳は「題して亀田の危機一髪や」とほえた。

 祭りで死ぬなら本望とばかり、興毅が「命がけでド派手に盛り上げるで。『亀田の危機一髪』や!」と、決死の入場パフォーマンスを行うことを発表した。有明コロシアムに大規模な舞台装置を投入。1000席以上の客席を外して大掛かりな仕掛けを作るというが、内容は極秘だ。

 夏祭りだけにイメージも膨らむ。空中浮揚みこし、巨大水風船、御法度の火薬を使用した人間打ち上げ花火…。危険極まりないのは間違いないらしく、興毅も「失敗したら、俺、この世におれへん。死んでるよ。俺のこと嫌いなヤツはそのまま死んでまえと思うよ」という。

 放送するTBSテレビの反対も押し切った。事故が起きれば興行の開催自体も危機。このため協栄ジムでは、入場のみの最高補償額としては前代未聞の1億円という保険を掛ける。TBSの新名宏次プロデューサーも、「最大限の安全面を考慮してやるハメになった。前回(5月23日・大阪)亀田家に依頼されて断った入場ですが、やはり100%安全ではない」と放送事故が起こらないよう胸で十字を切った。

命はリングで賭けろよ、というツッコミはするだけ野暮というものですが、ちょうどタイムリーにこんな事故のお知らせが。

http://www.asahi.com/culture/nikkan/NIK200707240006.html

人気イリュージョニスト引田天功(年齢非公開)が、22日に福井県鯖江市で行った公演で脱出系マジックに失敗、重傷を負っていたことが23日、分かった。機材に全身を挟まれる事故に遭い、右ほお骨、肋骨(ろっこつ)の骨折と全身打撲で、公演中止を余儀なくされた。

 トラブルは午後2時半からの昼の部開演から10分後に起こった。高さ2メートル、幅1メートル、奥行き60センチの金属製箱に入った天功に、左右両脇から刃渡り10センチ、長さ80センチの模造の刃物20本が突き刺さりそうになった瞬間に姿を消し、衣装を替えて飛び出すマジック「決死のスパイクイリュージョン」。それが、機材のトラブルなどから、刃物がそのまま天功に激突してしまった。

 しかし、舞台上では観客にアクシデントを感じさせないまま進行。約30分間のイリュージョンが続いた直後、舞台袖に引っ込んだ天功は1人では歩けない状態だったため、スタッフの判断でその後の公演を中止した。天功の意向で救急車は呼ばず、スタッフの車で病院に運ばれ、強度の全身打撲と診断された。

 夜の部も中止し、天功は急きょ帰京。主治医の診察を受けた結果、右ほお骨と肋骨を骨折していることが判明し、全治1カ月だという。現在、入院しているが、24日にも退院する。

 関係者は「顔がはれて痛々しい姿です。あと1センチずれていたら、右目に刃物が突き刺さっていたかもしれません。全身を挟まれた直後に意識がもうろうとし、30分間の記憶もなかったようです」と話す。今週いっぱいの仕事はキャンセルした。天功にとって初の公演中止。「公演が中止になり非常に申し訳ない。早く元気になって、福井で代替公演をしたい」とコメントした。

箱の中に入って剣を刺す、なんてのはマジックとしては小ネタの部類に入るもの。プリンセステンコーはもう1000回以上はやってると思いますが、それでもこんな事故は起こってしまうものです。


お師匠さんである初代引田天功は、「油地獄大脱出」や「炎上無人カー大脱出」「死の水道管大脱出」などの大掛かりな脱出マジックで知られていました。


で、1977年、新作「死の空中ケーブルカー大脱出」を準備していた矢先に心臓病で倒れ、弟子だった朝風まりを代役に立てました。


これが後のプリンセステンコーその人なわけですが、このときも、初代の体格に合わせて設計されていたギミックが、小柄なプリンセスでは上手く作動せず、けっこう危険だったそうです。



そして、闘病のかいなく初代引田天功は1979年に亡くなりました。


ですが、この死に関して「脱出に失敗して亡くなった」と勘違いしている人がけっこう多いんですね。


これは、ハリー・フーディーニの伝記映画『魔術の恋』において、フーディーニが水槽からの脱出に失敗して亡くなるということから来ているのだと思われます。

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実はこれも事実と異なり、実際には、鍛え上げた腹筋を客に殴らせてタフネスをアピールするのを得意としていたフーディーニが、楽屋を訪ねてきた若いファンに、準備する前にいきなり殴られたことが原因で、腹膜炎を起こして亡くなっています。


著名なマジシャンの最期としては、お皿による弾丸受け止め術を得意としていた自称中国人(実はアメリカ人)のチャン・リン・スーが、空砲のはずが実弾を込めてしまい、ステージ上で射殺されたというものも有名です。

チャン・リン・スー - Wikipedia
撃たれた瞬間、思わず「撃たれた!」と英語で言ってしまい、ニセ中国人だとバレたというエピソードも味がありますね。


後年、ブルース・リーの息子であるブランドン・リーが亡くなったのもこれと同様の事故でした。

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このように、プロのマジシャンや映画スタッフが充分に安全性を考慮してやるパフォーマンスでも、事故のリスクと無縁ではいられません。


WWEのレスラーだったオーエン・ハートが、宙乗りで入場するときにワイヤーが外れて転落死したのをご記憶の方も多いでしょう。

お亀くんは、リップサービスのつもりで「命がけ」なんて言ったんでしょうけど、本当に命を賭けなくちゃいいショウはできないぜ。