つれなのふりや
「エロ将軍と二十一人の愛妾」は、鈴木則文監督が1972年に放った東映アナーキーポルノのリーサルウエポンです。
田沼意次(安部徹)により11代将軍に推挙された豊千代(林真一郎)は、書物のみを友とする無類のカタブツ。
まったく女体に興味を示さないことを心配した田沼に遊郭へ連れて行かれ、豊満な花魁を相手に筆下ろしをするものの膣痙攣を起こして動けなくなり、登城不可能になります。
困り果てた田沼と部下の岩本(名和宏)。
そこへ忍び込んだねずみ小僧(池玲子)は、自分の知人である湯屋の三助、角助が豊千代にそっくりであることを紹介し、替え玉に仕立て上げます。
この角助が、越後の貧農の出という設定。
越後の角ですから、メッセージ性は明確です。
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まんまと江戸城に入り込み、11代将軍徳川家斉になりすました角助。
大奥の美女を相手にやりたい放題の限りをつくします。
次第に安部徹や名和宏のコントロールを外れ、正室として御輿入れしてきた高貴なお姫様(なんと杉本美樹)までやってしまい、次々に懐妊させていきます。
実はこれが、庶民の血を吸って肥え太る徳川幕府に対する、池玲子の復讐。
彼女の父は、一揆を主導して処刑されていたのでした。
そして結局、大奥内部の権力闘争により幼馴染のお菊(渡辺やよい)がお万の方(三原葉子)に責め殺されたのをきっかけにして、権力への憎悪で発狂した角助は、伝馬町の牢屋から囚人を解き放ち、大奥の女たちを犯させるという暴挙に出ます。
大混乱の中で、かねて懸想していた池玲子を抱いて腹上死する角助。
彼に代わって本物の家斉が復帰しますが、初体験のトラウマにより極度の女嫌いになっていたため嫡子がおらず、徳川家は貧農の子が継いでいくというオチでした。
葵の御紋をずたずたに斬りまくる角助の姿は男泣きです。
ですが、いちばんの見どころは中盤のギャグでしょう。
あるとき、清国の使節と面会した角助。
これが、由利徹と岡八郎。
役名が、毛沢山(もう・たくさん)と陳万紅(ちん・まんこう)というベタぶりです。
しかも毛沢山、「毛語録」と首っ引きで喋るというから念が入っている。
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彼らのみやげ物が、あらゆる意味で危険すぎるシロモノ。
「パンタ」と称するその生き物は、女性を悦ばせる技術を叩き込まれた、
顔を白黒に塗った二人の小人です。
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性の玩具として訓練された小人たちが、バター犬(超カワイイ狆)といっしょになって三原葉子の体をまさぐりまくる姿にはリアクションに困りました。
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…この映画、アナーキーなストーリーゆえにソフト化されていない幻の傑作とも言われていますが、その理由はむしろこっちなんじゃないかなぁ。
昔、ミゼットレスラーの角掛留造が、事務所の職員との飲み会で、
「オレ、小型特殊の免許持ってるんだ」
と発言したところ、
「小型で特殊なのはあんただろ」
と返された、というエピソードがありましたが、まぁあんまり関係なかったですね。