Tattoed Dancer

昨夜のことですが、仙台セントラル劇場にて、鈴木則文監督特集第一弾「不良姐御伝 猪の鹿お蝶」観てきたですよ。
http://www.jmdb.ne.jp/1973/cw000380.htm


明治時代を舞台に、池玲子扮する女賭博師・猪の鹿お蝶が、父(殿山泰司)の仇であり、日本を陰謀に巻き込もうとする名和宏とか川津清三郎とか、イカサマ博打の胴元の遠藤辰夫とかを相手に、ときにはトップレス、ときには全裸で立ち回りを繰り広げるというしょーもない作品(褒め言葉)でした。

ちょうど「仁義なき戦い」シリーズと同時期の製作だったので、立ち回りのシーンに出てくるのも、木谷邦臣とか笹木俊志とか見たことある人ばっかり
我が家でくつろいでいるような気楽さで観ることができました。


ゲストとして、クリスチナ・リンドバーグも登場。
女スパイ兼ギャンブラーという、「カジノ・ロワイヤル」みたいな設定です。

カジノ・ロワイヤル [DVD]

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しかし、そもそも「恋人に会いたいため」という不純な動機でスパイになった人なので、任務中にも女の情念を打ち出して泣いてばかり。

結局は恋人と駆け落ちしようとして粛清され、しかし刀を拾って反撃してあっさり全滅させるという超イージーな結末でした。
バックには、荒木一郎によるなぜか超爽やかなBGMが流れて。


鈴木則文監督は、「徳川セックス禁止令 色情大名」でも、サンドラ・ジュリアンを招聘して、権力に翻弄される悲しい女の運命と情念を描いています。

徳川セックス禁止令?色情大名? [VHS]

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権力による暴力と、それに蹂躙される、(性によって象徴される)個人の自由というテーマは、70年代のポルノやニューシネマによくみられるものでした。
インサイド・ディープ・スロート [DVD]

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この「猪の鹿お蝶」も、ニューシネマの時代の作品だったということでしょうかね。



なお、この作品には、石井輝男監督による続編「やさぐれ姐御伝 総括リンチ」があります。

やさぐれ姐御伝 総括リンチ [VHS]

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ちょうど連合赤軍事件のころだったので、「総括リンチ」という左っぽいタイトルがついていますが、内容は全然思想的ではありません。


池玲子が、対立していたスケバングループとの和解にあたり全員トップレスになって三本締めをするというシーンでは大爆笑が起こりました。

そして、ひと粒のひかり [DVD]

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この「そして、ひと粒のひかり」では、主人公の女性が麻薬を飲み込んで運び屋をやりますが、「総括リンチ」を思い出してしまうのはわたしだけでしょうか。


あっちは下の口で飲み込むんですけどね(下品)。