助さんの憂鬱

徳弘正也の『黄門さま』1巻が発売。

水戸黄門の諸国漫遊を「暴君の退屈しのぎのために多数の部下が犠牲になる」過酷な任務として描き、階級社会の恐ろしさを告発する社会派漫画です。まぁ要するに水戸黄門版『シグルイ』みたいなものですが、あちらが武士道と美意識に徹底的にこだわっていたのに対し、こちらは登場人物がほぼ現代人と同じメンタリティを持っているというのが大きな違いでしょうか。「チャンス」などの横文字も平気で使うあたりは、ドラマ『水戸黄門』でうっかり八兵衛が「この茶店はサービス悪いね」と言った、という都市伝説を意識しているのかもしれません。


青年誌に移行してからは社会派の色合いが濃くなった徳弘正也ですが、相変わらず超くだらない下ネタもふんだんに盛り込まれているので、初期からのファンも安心して読めるでしょう。とにかく読み応え充分の作品であります。