ネ暗トピアリターンズ

いがらしみきおの『ネ暗トピアリターンズ』1巻を買いました。

ネ暗トピアリターンズ 1 (バンブー・コミックス)

1982年に発行され、4コマ漫画に革命を起こした名作が、30年の時を超えて復刻されました。『ぼのぼの』以後とは違う、アナーキーで破壊的なギャグが楽しめます。
当時、この作品を、矢作俊彦が激賞したというエピソードも紹介されています。
東北人の不条理な妄想が炸裂するこの漫画を、都会派の最たる人物である矢作俊彦が賞賛したというのは一見すると意外なようですが、当時のいがらしみきおには独特のポップさとともに鋭い自己批評の視線があり、30年後の今になっても古びない魅力があるのを、矢作俊彦の慧眼が見抜いていたのでしょう。

とはいうものの、１巻の段階ではまだ旧来の４コマ漫画の枠組みが残っており、富士桜ネタなんかは『がんばれ！　タブチくん』系スポーツ４コマの流れを感じさせます。本当に面白くなるのはまだこれから、といったところですね。表紙にも登場している、いがらし作品を代表するキャラクターである松本伊与吉もまだ出てこないし。

あと、惜しむらくは原稿の保存状態が悪かったのか、一部に印刷が潰れているところがあります。こういうのって興を削ぐんだよなあ。

ま、いずれにせよ今後の続刊も楽しみにしましょう。この流れで、実業之日本社から『あんたが悪いっ』の復刻版も出ねえかな。

あんたが悪いっ〈1〉―みちのくギャグ! (1983年) (マンサンコミックス)