グランドクロス

たなか亜希夫の『軍鶏』が「イブニング」誌上にて連載再開されました。

原作者の橋本以蔵と作画者のたなか亜希夫との間で、著作権をめぐって裁判になっていたため、2008年から三年にわたって中断されていたのですが、裁判がたなか側の勝訴で結審したため、このたびの再開にこぎつけたとのこと。


今回の再開に合わせて、講談社では分厚い「完全版」の単行本を刊行し始めているのですが、完結していない漫画の「完全版」が出るというのはかなり異例のことだと思います。


中断前の展開では、番竜会・黒胴着衆vsチームトーマのビッグイベント「グランドクロス」がドーム球場で開催され、満場の観客を集めているのですが、この三年で格闘技界の様相もすっかり変わり、大会場をフルハウスにしてビッグマネーを動かす興行なんて日本ではあり得なくなってしまったのがなんともはやです。

プロレス 大貧民 (別冊宝島) (別冊宝島 1792 ノンフィクション)

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2007年までは、大晦日になると格闘技のビッグイベントが競合するほどのブームだったのですが、PRIDEが潰れ、跡を継いだ「やれんのか!」は結局やれないことが判明、「戦極」はドンキホーテのお家騒動もあって消滅、K-1は巨額のギャラ未払いが発覚して冷温停止と総崩れ状態。グランドクロス篇はリョウvsトーマの一試合を残すのみとなりましたが、ここでとりあえず完結させておくつもりなのでしょう。現実の格闘技業界を見るに、今後の良い展望は望めそうもないし。


『軍鶏』完結後には、きうちかずひろ原作の『喧嘩猿』も再開するとアナウンスされているので、楽しみに読んできた『軍鶏』がこんな駆け足で打ち切られるのは悲しいものがありますが、まぁ仕方ないでしょう。中国で気功をマスターしたはずのリョウが帰国したら弱くなってた、というストーリー上の不整合もあったことですしね。