弦と響

本日は、小池昌代先生を講師にお迎えした「せんだい文学塾」5月講座を受講してまいりました。


せんだい文学塾は、東日本大震災により3月と4月の講座を中止しましたが、関係各位の協力により、再開の運びとなりました。この場を借りて、ご協力いただいた皆さまにお礼を申し上げます。


小池先生は前日に仙台入りされ、津波の被害が大きかった地域をご覧いただいたのですが、やはり中央と現地の温度差を感じた、とおっしゃっていました。


テレビなどの震災関連報道では、すでに話題の中心は原発危機に移行し、津波災害についてはあまり触れられなくなっています。しかし現地ではまだ全く終わっていません。廃墟と化した町には、原型をとどめないほど破壊された自動車もまだ残っており、信号の壊れた交差点では警察官が交通整理を行っています。


そうした光景を目の当たりにされた小池先生は、「このつらい現実の中でこそ、完全な虚構のフィクションが必要になるのでは」とおっしゃっていました。


そこで今回の講座は、フィクションに力を持たせるための書き方について、重点的に語っていただきました。


詩人としても活躍されている小池先生ですので、今回の講座では、教材として、受講生から提出された詩も取り上げました。通常は小説かエッセイが中心のこの講座では、初めての試みです。小説を書く人も、詩を無関係なものとして捉えることはできません。小説におけるストーリーの流れを水平方向と捉えると、ただ平板に描くのでは作品に力が生まれません。そこに詩の持つポエジーを加えることで、垂直方向の流れが生まれます。水平方向と垂直方向の力を加えることで、作品が重層的な立体構造になるんですね。


そこで小池先生が薦められたのが、宮城県出身で無頼の生活を送った詩人、尾形亀之助でした。

尾形亀之助詩集 (現代詩文庫 第 2期5)

尾形亀之助詩集 (現代詩文庫 第 2期5)


ぼくはこれまで、詩にはまったく親しんでこなかったのですが、「いくつになっても新たなジャンルに挑戦することが必要」という小池先生の教えを受け、もっと貪欲になろうかと思いました。ブログに活かせるかどうかはわからんですけど。