獅子たちの荒野
ぼくの一ヶ月最大の楽しみ、「別冊漫画ゴラク」を読みました。
http://www.nihonbungeisha.co.jp/goraku/betugora/
今月号から、増刊「食漫」の休刊を受けて、土山しげるの『極食キング』もこちらに移籍して連載が始まっています。今回は松山を舞台に、料理人の秋山兄弟が歳三の助けを得て、織田獅子丸の侵攻に対抗するという『坂の上の雲』ネタ。獅子丸配下の「赤シャツ隊」が、松山五稜郭亭に嫌がらせにやってくるという『坊っちゃん』ネタも盛り込まれています。
- 作者: 司馬遼太郎
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- 作者: 夏目漱石
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『ザ・松田』は今回も脱力展開で、在特会の桜井会長によく似た男(尖閣に上陸しようとしてサメに片足を食いちぎられる)の頼みを受けた松田が、尖閣に上陸して中国の軍人や殺し屋を蹴散らし(危機感もなければ盛り上がりもない)日の丸を掲げるというもの。黒幕の「万石官房長官」というネーミングも相変わらず安直で素晴らしい。
ですが、今月号の見どころは、なんといっても由起二賢の『野望の憂国』です。
『野望の王国』の主人公によく似た二人(タチバナとカタオカ)のヨタ話は、今回は漫画規制条例について。タイミングはかなり遅れていますし、ギャグテイストの漫画ではありますが、表現を規制しようとするお上への怒りはシリアスなもの。途中で作者自身が登場し、「四半世紀前に東京から帰郷して、自衛隊が出てくる漫画を描いていたら、地元の警察が毎日やってきて監視するようになり、近所から変な目で見られるのでまた東京に引っ越した」という経験談を語っています。
この「自衛隊が出てくる漫画」というのは、雁屋哲とのゴールデンコンビによる第二弾『獅子たちの荒野』のことですね。
- 作者: 雁屋哲,由起賢二
- 出版社/メーカー: 日本文芸社
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そんな経験を持つ作者だけに、権力による表現規制には強い怒りを感じているようです。タチバナとカタオカの二人も、「漫画の登場人物として強く抗議する」という、リアリティのあるのかないのかわからない発言をしているのがまた凄い。
ちなみに『野望の王国』にも、刑法に触れる性行為の描写(赤寺が柿崎を犯す場面とか)がありますので、青少年健全育成条例には抵触するおそれがあります。まぁそんなレベルじゃない犯罪行為の描写がてんこ盛りなんですけどね。スーパーマーケットの紙袋の中からコンクリート・ブロックっ!?