Birds of Fire

さて、昨夜『マチェーテ』観てきたんですけどね。
machete.jp
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シルヴェスター・スタローン監督の『エクスペンダブルズ』は、オールドタイマーを揃えて正統派B級アクション映画を復興させましたが、こちらの『マチェーテ』は、ロバート・ロドリゲス監督のグラインドハウス方向からのアプローチによって、結果的に似たテイストを醸し出しています。


そもそも『マチェーテ』は、『グラインドハウス』のおまけとして作られたフェイク予告編をもとにしており、『スパイキッズ』に登場するダニー・トレホを主役にした、スピンオフ作品でもあるわけです。洋画軽視の傾向が続くいまの日本で、この作品が劇場公開されたのは奇跡みたいなものですね。東北地方ではMOVIX利府だけという状況ではありますけど。


その成立からしてお遊び的な要素が強い作品で、アクション場面はとんでもなく馬鹿馬鹿しいのですが題材は意外とシリアスです。メキシコからの不法移民とそれを弾圧するアメリカ政府、麻薬密輸(メキシコでは麻薬カルテルの抗争により2006年から今までで3万人以上が死亡している)などアクチュアルな話題を盛り込んだ政治的な映画ではありました。まぁ麻薬王日本刀を持ったセガールなんですけどね。


主人公のマチェーテダニー・トレホ)は、元はメキシコの麻薬捜査官でしたがセガールに妻子を殺され、今はテキサスで日雇い労働者をしています。そんな彼が、移民排斥を叫ぶタカ派議員(ロバート・デ・ニーロ)の暗殺を依頼されますが、それは罠で、議員がメキシコ系移民に狙撃され負傷することで、白人の支持を取り付けるための陰謀でした。罠にかけられ追われるマチェーテは、移民取締官のジェシカ・アルバ(エロい)や女革命家のミシェル・ロドリゲス(エロい)に助けられて、デ・ニーロやその背後にいるセガール(エロい美女をたくさんはべらせている)たちに戦いを挑む……というお話。ロバート・ロドリゲス監督作品にはおなじみのチーチ・マリンとか、『プラネット・テラーinグラインドハウス』にも出てきた双子(エロい)も登場します。前回は凶悪なベビーシッターでしたが、今度はミニスカのナースという、ツボを心得た配役です。リンジー・ローハン(エロい)がヤク中というのも見逃せないポイントです。ショッキングなまでの肌荒れは一見の価値ありです。

セクシー双子のみならず、この映画ではほとんどの女優がタンクトップ&ホットパンツ着用で、テキサスの暑い気候を表現しているというエクスキューズもあるのかもしれませんが、ロドのわかりやすい性的嗜好如実に現れています。マチェーテが異常にモテモテなのは(主要女性キャストほとんどと関係を持つ)、70年代のブラックスプロイテーション映画における黒人男性の扱いをメキシコ人男性に置き換えた演出だといいますが、さしずめメクスプロイテーション映画とでも呼ぶべきでしょうか。でも、トレホの人相はともかくとして、すでに66歳のおじいちゃんが娘以下の年齢の女性たちを魅了しまくるのは、ちょっとやり過ぎなような気がしないでもありませんでした。


あと、たぶんこの映画で一番ギャラが高かったであろうデ・ニーロですが、人種差別政策を主張して狙撃され、負傷する上院議員を演じています。いうまでもないことですが、彼の出世作タクシードライバー』は、人種差別政策を推進していたアラバマ州のジョージ・ウォレス知事がアーサー・ブレマーという男に狙撃され、半身不随の重傷を負った事件をモデルにしています。

タクシードライバー』ではテロリストを演じていたデ・ニーロが、今度は撃たれる側に回ったわけですねえ。デ・ニーロの演技が、ジョージ・W・ブッシュ元大統領の物真似になっているあたりも含めて味わい深い。
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デ・ニーロが演じる上院議員の名前が、「ジョン・マクラフリン」なのは何か意味があったんでしょうか。

Birds of Fire

Birds of Fire

ロドリゲスもギターを弾く人なので、マクラフリンのプレイスタイルに対する反感でもあったんですかね。



それと、ダニー・トレホを倒すために、デ・ニーロの側近が殺し屋として雇うのが、トム・サヴィーニ大先生。これは美味しい組み合わせだ、といやがうえにもテンションがブチ上がりますが、チーチ・マリンを始末したあとはどこへ行ってしまったんでしょうか。

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