わが青春のタブクリア

ミリオン出版さまより『なつジュー。』の献本をいただきました。


http://www.natsuju.info/


かつて「GON!」誌上で連載された飲料テイスティング企画、「まずジュー」の発展形として、20世紀の懐かしい清涼飲料水について膨大な写真とともにデータを紹介しています。しめて555本。缶やビンの写真を見ているだけでも楽しい本です。


25名の思い出人から投稿された「私のなつジュー。」コラムも掲載。タブクリアについて書いた、ぼくの投稿も載っています。



1992年頃、アメリカでは透明(クリア)商品がブームになり、飲料でもペプシコが「クリスタル・ペプシ」という透明ペプシを発売してヒットしました。これに対抗して、コカ・コーラも低カロリー飲料「タブ」の透明版「タブクリア」を開発します。


元祖「タブ」は日本では未発売でしたが、「タブクリア」の方は日本でも俵孝太郎をCMに起用して大々的な宣伝とともに発売されました。しかし、当時は缶入りが主流だったため「透明なのにコーラ味」という意外性がほとんど無意味であり、また、低カロリー甘味料の味は日本人にはまだなじみが薄かったため、単に「変な味のコーラ」という以上の評価は得られず、早々に市場から消えた悲劇のコーラでした。


ぼくはこれが大好きで、学校の購買で買ってよく飲んでいたのですが、友人たちには不評で、隣の自販機で売られていたジョルトコーラ(ビートたけしがCMをやっていた、カフェイン2倍のコーラ。炭酸が強く苦味と酸味が濃い、こちらもクセの強い味だった)の方がみんなには好評だったものです。思えば、自分の好きなものが世間には受け入れられない、という悲哀を味わい続ける人生でありました。


ちなみに、タブクリアの元になった低カロリーコーラ「タブ」は、アメリカでは1963年ごろに発売されました。

1985年の映画『バック・トゥ・ザ・フューチャー』には、1955年にタイムスリップした主人公のマーティ(マイケル・J・フォックス)がカフェで「タブを」と注文するものの、当時はまだ発売されていないため、店主から「伝票(タブ)は注文の後だ」と言われる場面がありました。続いて「じゃあペプシ・フリー(無糖)」と注文すると「ペプシが飲みたきゃ金を払え」(「フリー」を「無料」と勘違いする)と返されるのですが、この辺は翻訳が難しかったでしょうね。
バック・トゥ・ザ・フューチャー―名作映画完全セリフ集 (スクリーンプレイ・シリーズ)

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『なつジュー。』は6月25日に全国のコンビニで発売されます! みんな読んでね!