誰かがそれを

誰かがそれを

誰かがそれを

昨日は、佐伯一麦先生を講師に迎えた「小説家・ライター講座」を受講してまいりました。


小説を書くと、書き上がって見れば削るべき部分があることもありますが、書いているときにはそれが必要だったりもします。あとで読むと不必要な部分でも、書く勢いを保つためには要るんですね。なので、あとで推敲することが大切です。


で、推敲するときには文章を「読む」ばかりではなく、全体の字面を「見る」ことも必要です。読者にとってはパッと見の印象も大きいので。だから、雑誌に載せる原稿は、その雑誌の印刷フォーマットに合わせて(行×列の字数とか)いちど印字してみることも有効だそうです。そうしてみると印象が変わることもあるそうですよ。


また、佐伯先生のキャリアに大きな影響を与えた名編集者、「文藝」や「海燕」の編集長だった寺田博さん(3月5日に死去)のエピソードもいくつか聞かせていただきました。

時代を創った編集者101

時代を創った編集者101

寺田さんが中上健次にミネラルウォーターの瓶で殴られて20数針も縫う重傷を負ったという話は有名です。


佐伯先生がデビューしたときには、同期の島田雅彦小林恭二が半年に一冊ぐらい本を出していたのに対し、佐伯先生は「キミはまだ数年かかる」と言われたそうです。作家には自らの文体を確立することが必要で、当時の佐伯先生はまだその域には達していなかったというんですね。でも、その後の努力によって現在の活躍があるのは皆様ご存知の通りです。


編集者は、作家に傑作を書かせることはできない。傑作は作家が自分で生み出すもので、編集者にできるのは出世作を書かせることである。寺田さんはそう言っていたそうです。これは芸術と職業の関係を表すのにイイ言葉だなぁ。

今回も勉強になるお話をありがとうございました。

お知らせ

この仙台の「小説家・ライター講座」は、3年間にわたって開かれてきましたが、運営元である東北芸術工科大学・東北文化研究センターの方針変更によって、今回で終了することになりました。


ぼくもこの講座を通じて多くの作家や評論家とお会いし、参考になる話をたくさん聞かせていただきましたので、残念です。


今後は、とりあえず4月、5月、6月と、たまっている受講生から提出されたテキストを消化するため、コーディネーターの池上冬樹先生と仙台文学館が共同で自主運営講座を行う予定です。その後の催し物については、決まり次第こちらでも告知いたします。


また、山形市で開かれている「小説家になろう講座」は来年度も行われますので、近郊の方はそちらもよろしくお願いします。