誰かがそれを
- 作者: 佐伯一麦
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2010/01/27
- メディア: 単行本
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小説を書くと、書き上がって見れば削るべき部分があることもありますが、書いているときにはそれが必要だったりもします。あとで読むと不必要な部分でも、書く勢いを保つためには要るんですね。なので、あとで推敲することが大切です。
で、推敲するときには文章を「読む」ばかりではなく、全体の字面を「見る」ことも必要です。読者にとってはパッと見の印象も大きいので。だから、雑誌に載せる原稿は、その雑誌の印刷フォーマットに合わせて(行×列の字数とか)いちど印字してみることも有効だそうです。そうしてみると印象が変わることもあるそうですよ。
また、佐伯先生のキャリアに大きな影響を与えた名編集者、「文藝」や「海燕」の編集長だった寺田博さん(3月5日に死去)のエピソードもいくつか聞かせていただきました。
- 作者: 寺田博
- 出版社/メーカー: 新書館
- 発売日: 2003/08/01
- メディア: 単行本
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佐伯先生がデビューしたときには、同期の島田雅彦や小林恭二が半年に一冊ぐらい本を出していたのに対し、佐伯先生は「キミはまだ数年かかる」と言われたそうです。作家には自らの文体を確立することが必要で、当時の佐伯先生はまだその域には達していなかったというんですね。でも、その後の努力によって現在の活躍があるのは皆様ご存知の通りです。
編集者は、作家に傑作を書かせることはできない。傑作は作家が自分で生み出すもので、編集者にできるのは出世作を書かせることである。寺田さんはそう言っていたそうです。これは芸術と職業の関係を表すのにイイ言葉だなぁ。
今回も勉強になるお話をありがとうございました。