グランド・フィナーレ

東京都の青少年保護条例改正案が、表現の自由を制限するものだとして話題になっています。


番外その22:東京都青少年保護条例改正案全文の転載: 無名の一知財政策ウォッチャーの独言

第三章 不健全な図書類等の販売等の規制

(図書類等の販売等及び興行の自主規制)

第七条 図書類の発行、販売又は貸付けを業とする者並びに映画等を主催する者及び興行場(興行場法(昭和二十三年法律第百三十七号)第一条の興行場をいう。以下同じ。)を経営する者は、図書類又は映画等の内容が、次の各号のいずれかに該当すると認めるときは、相互に協力し、緊密な連絡の下に、当該図書類又は映画等を青少年に販売し、頒布し、若しくは貸し付け、又は観覧させないように努めなければならない。
  • 一 青少年に対し、性的感情を刺激し、残虐性を助長し、又は自殺若しくは犯罪を誘発し、青少年の健全な成長を阻害するおそれがあるもの
  • 二 年齢又は服装、所持品、学年、背景その他の人の年齢を想起させる事項の表示又は音声による描写から十八歳未満として表現されていると認識されるもの(以下非実在青少年という。)を相手方とする又は非実在青少年による性交類似行為に係る非実在青少年の姿態を視覚により認識することができる方法でみだりに性的対象として肯定的に描写することにより、青少年の性に関する健全な判断能力の形成を阻害し、青少年の健全な成長を阻害するおそれがあるもの

非実在青少年」とは、須賀原洋行の漫画みたいでシュールな語感ですね。「準児童ポルノ」の次は「非実在青少年」か。毎度毎度、新たな概念を生み出しては表現規制を求める人たちの情熱には、まったく頭が下がる思いでございますです。


現行の条例でも「有害図書」の指定はできるし、その威力は決して弱いものではないんですが、こういう運動をすることで支持を取り付けている議員のセンセイ方もいるんでしょうから、徒労になったとしても懲りずに続けるんでしょうね。


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いっぽう、山形県ではこんなニュースも。


http://mainichi.jp/select/wadai/news/20100228k0000m040020000c.html

さくらんぼ小学校:生産量日本一の山形・東根市に来春開校

 サクランボの生産量日本一を誇る山形県東根(ひがしね)市は、11年4月に開校する新しい小学校の校名を「さくらんぼ小学校」と決めた。同市はブランドの「佐藤錦」発祥の地でもあり「全国に送られるサクランボのように大きく羽ばたいて」などの思いを込めた。文部科学省教育制度改革室も「校名に特産品の名前を付けた例は聞いたことがない」という。

 山形市の約20キロ北にある東根市の人口は約4万7000人。宅地開発などで20年前より約4000人増えており、小学校を新設することになった。校名を市民から募集したところ「さくらんぼ」が783件中132件でトップ。「サクランボのように太陽の光をたくさん浴びて」「実が2個連なるように仲良く育って」などの理由が多かったという。

 農林水産省の調査で、同市のサクランボ生産量は3910トン(06年)と、2位の同県天童市の2980トンに大差をつけている。市教委の校名審査では「温暖化などで日本一の座を失うかも」と懸念する声もあったが「仮にそうなっても日本一だったと後世に伝えられる意義もある」として決めた。

 東根市は99年に新設されたJRの駅名を「さくらんぼ東根」とし、原付きバイクのナンバープレートにサクランボのイラストを入れるなどPRしている。

 11年4月には約510人の「さくらんぼ小学校生」が誕生する予定。長女(5)が入学する主婦(37)は「かわいらしい名前で、親しみが持てていいと思う」と話している。

山形県さくらんぼ推しっぷりは神がかり的なレベルに達しており、テレビ局は「さくらんぼテレビ」だし、東根市にある駅は「さくらんぼ東根駅」、併設されている図書館は「さくらんぼ図書館」だからなんとも言えない味があるものです。


さくらんぼテレビでは、チェリーボーイが主人公の『さくらんBOY DT』というローカルアニメ番組を製作したこともありました。
http://www.sakuranbo.co.jp/sdt/


さくらんぼというと、チェリーボーイという連想もあってどこかユーモラスな響きですが、「さくらんぼ小学校」という名称は、実は先に使っていた人がいたようで。

私立さくらんぼ小学校

http://www.kodomo-h.com/
(※↑ロリコン同人ゲームのソフトハウスにつき閲覧注意)

いたずラブ

ひと気のない公園で
少女と愛を育もう 

ぶはははは。完全にアウトだろコレ。法律的にはともかく人間としてアウト。
(でも、人間的にアウトだからといって法律でどうこうするのには賛成しないけどね)


東根市出身の作家である阿部和重には、地元である東根市神町を舞台にした作品群があります。

シンセミア〈1〉 (朝日文庫)

シンセミア〈1〉 (朝日文庫)

この人の小説では、ヒロインの名前を『カードキャプターさくら』や『おじゃ魔女どれみ』から引用してみたり、『インディビジュアル・プロジェクション』や大作『シンセミア』、芥川賞受賞作『グランド・フィナーレ』などにロリコンの男が頻出するのですが、東根市というのはそういう磁場に飲み込まれている土地なんでしょうか。



と、ここまで書いたところで青森県岩手県宮城県の太平洋沿岸に大津波警報が発令されたので、ちょっと山形まで避難してきます。東根市じゃないけど。